議員報酬
皆様ご機嫌いかがでしょうか。
視界ゼロのみこばあちゃんです。
おはようございます。
セミたちも5時から19時過ぎまで、命の限り泣き明かします。
山々も雨の恵みを頂き森ももりもりです。
国会の内容にはへきへきするものがあります。
平民には理解できないほどの国会議員の給与にはびっくりです。
食費がいくらになろうと 蚊帳の外のお話でしかないのですから…
国会議員が得る「お金」がどれほどか知ってますか 尾藤 克之
今回の参議院選挙は自民党が圧勝しました。多くのタレント議員が誕生しましたが、一
部の議員には当選後の会見を拒否する姿勢が見られました。公人である以上、自らの言
葉で有権者に説明する責任がありますが本人の姿が見えないのは残念なケースです。
落選しない限り参議院議員は6年間の職位が保証されます。今回は、あらためて注目され
る国会議員の報酬について解説します。
議員報酬は高いのか
憲法では国会議員の報酬を次のように規定しています。憲法49条「両議院の議員は、法
律の定めるところにより、国庫から相当額の歳費を受ける」。国会法35条「議員は、一
般職の国家公務員の最高の給与額(地域手当等の手当を除く。)より少なくない歳費を
受ける」。さらに、歳費法によって歳費、旅費および手当等の支給についても細かく規
定されています。
いったい、いくらになるのでしょうか?
国会議員の歳費は月額129万4000円と定められています。年額で1552万8000円になります
。ここに、期末手当(賞与)として年額635万円が加算されますので、総額2187万8000円
が基本ベースです。
昨今問題視されている「文書通信交通滞在費」(現在は「調査研究広報滞在費」に名称
変更)が1200万円(月額100万円×12カ月)が支給されます。領収書の公開などが不要で
あるため、第2の給与とも呼ばれさまざまな用途に使用されているのが実情です。領収書
による精算が必要ありませんからブラックボックスです。
1200万円(月額100万円×12カ月)もの領収書も必要ないお金を一般人が稼ぐにはいくら
必要でしょうか。所得税で40%控除されることを踏まえれば、約1700万円(月額141万円
×12カ月)の収入が必要になります。
次に、「立法事務費」780万円(月額65万円×12カ月)を加算してみましょう。立法事務
費は会派に対して支払われますが、1人会派だとしても政治資金規正法上の政治団体とし
て届け出ていれば認められます。また、まったく活動していなかったとしても立法事務
費の使い道を第三者が確認する術はありません。
使途公開の必要のない月額65万円を一般人が稼ごうとするとどうなるのでしょうか。所
得税で40%控除されることを踏まえれば、1296万円(月額108万円×12カ月)程度の収入
が必要です。基本ベース2187万8000円+1700万円=3887万8000円(議員歳費+文書通信
交通滞在費)に1296万円(立法事務費)を加算すると、5183万8000円となります。
さらに、JR特殊乗車券・国内定期航空券の交付や、3人分の公設秘書給与や委員会で必要
な旅費、経費、手当、弔慰金などが支払われます。くわえて、政党交付金の一部が、各
議員に支給されます。
これらを踏まえて国会議員1人当たり、年間にどれだけのお金がかかっているのか試算し
てみましょう。
○基本給1552万8000円(月額129万4000円)
○期末手当635万円
○文書通信費1200万円(月額100万円)
○立法事務費780万円(月額65万円)
○JR特殊乗車券、国内定期航空券。北海道選出の議員であれば羽田⇔新千歳(ファース
トクラスなら往復10万円×月4回×12カ月=480万円)
○秘書給与2100万円(政策秘書900万円、第1秘書700万円、第2秘書500万円と仮定)
○政党からの支給?0~1000万円程度政治献金はどのくらい?
政治活動には多額の出費が必要であることから、政治家は政治献金を募ることになりま
す。企業が行う企業献金と、個人が行う個人献金に分かれます。企業献金には癒着につ
ながりやすいという指摘があります。
また、政治家個人への献金は禁止されていることから、政治団体(一政治家が1つだけ指
定できる資金管理団体や後援会など)を通じて献金することになります。日本国籍を持
つ個人献金のみ可能で、一政治団体に対して年間150万円まで可能です。
政治資金パーティーによる政治献金もあります。資金管理団体には、個人献金や政治資
金パーティーの収益が入り、政党支部には政党本部や企業献金が入ります。
日本経済新聞電子版(2021年12月3日配信)によれば、国会議員の資金管理団体と関係す
る政党支部が2020年に集めた政治資金をめぐり、議員1人当たり実収入の平均額は3103万
円で、2019年から28.9%減少したことが明らかにされています。
「アメリカ」の下院・上院では支給額にかなりの差が生じます。下院は「議員代表職務
手当」が支給されます。この手当から、交通費、通信費、秘書給与その他の経費を支出
します。その額は1億2000万~1億8000万円と差があります。アメリカ合衆国議会議事堂
があるワシントンから選挙区までの距離、事務所賃貸料等の個人差が生じているためで
す。
上院は「秘書・事務所費用会計」として、事務費から秘書給与までの経費すべてを支出
します。その額は約2億4000万~4億円程度です。両院とも秘書給与を流用できますが、
充当されるのは、下院で8000万円程度、上院では2億~3億円です。秘書の人数も下院な
ら5名程度、上院で30~40名と開きがあります。
不適切な経費請求が発覚し、厳格化されたイギリス
「イギリス」の上院は貴族院として世襲により構成されてきましたが、現在は削減され
無報酬を踏襲しています。下院は基本給に手当が加わりますが、各議員が実費精算する
ことから内容が異なります。英国下院は約1126万円、「秘書雇用手当」が3人で平均約13
00万円程度です。手当や使いみちは詳細に公開され、誰でも閲覧できるようになってい
ます。
2009年に多くの不適切な経費請求が相次いで発覚しました。イギリスの新聞、『デイリ
ー・テレグラフ』は、全国646人の議員のうち、200人以上の不適切な経費請求を明らか
にします。議員は国民から強い反発を受けました。その後、ルールが厳格化され、現在
では公開が義務づけられています。
「ドイツ」の議員報酬は1466万円で欧州では2位、世界全体でも8位の高額議員報酬です
。個人で秘書を雇った場合はその人件費として最大23万9000ユーロ(約3100万円)が支
払われます。秘書の数は制限がありませんが近親者の雇用を禁じています。平均6~7名
です。
「フランス」は1085万円で、これは世界14位のランクです。秘書の雇用に関しては、上
院で約952万円、下院で929万円が支給されます。人数は上院6名、下院では5名まで可能
で半数はパートです。
これらの情報を比較すると、アメリカが突出しているように見えますが、すべて使途明
細書の提出がなければ1セントも支払いがされない後払い方式です。アメリカは政党に依
存しない個人活動が主流だからです。欧州は政党・会派中心ですが日本もそれに近いと
言えます。
毎回先延ばしになる議員特権議論
2021年10月31日の衆議院選挙後に「満額」が振り込まれたことにより文書通信交通滞在
費をめぐる問題は、連日メディアで報道されました。しかし、「使途の明確化や情報公
開」など重要な要点には触れられずに先送りされました。与野党ともに「日割り」にす
るだけで決着をつけようとする姿勢が強く見受けられました。継続した議論が求められ
ます。
前の国会で各党は「使途公開」を口にしていました。ところが成立したのは当選した月
の支給額を「日割り計算」にする改正だけです。使途公表や国庫返納はなんら盛り込ま
れていません。さらに、文書通信交通滞在費から調査研究広報滞在費に費目が変更され
ただけでした。
その後、JR無料パスの違法使用、パパ活疑惑などがあり、国民からは「議員特権を廃止
すべき」という厳しい声が上がりました。国民の血税で活動している以上、国会議員に
かかる諸費については透明性を持たせる必要があります。
しかし、政治家は自らが当選に有利になることでないかぎり前向きには議論しません。
政治システムを変える法案を提出することもありません。当然のことながら不利になる
システムに変更されることもありません。実現させようなどと思っていないからでしょ
う。
国会議員の本務は、国会で政策を議論し、必要な法律を策定することです。選挙区のお
祭りや盆踊りに顔を出したり、運動会に参加したりすることが本筋ではないのです。
議員は国の代表ですから、相応の報酬があることはもちろん理解できます。しかし、税
金によって支払われる以上、議員の仕事に見合うかどうかを国民1人ひとりが注視しなけ
ればなりません。参議院選挙後の臨時国会は8月3日に召集されます。
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