決断

  ご機嫌いかがでしょうか。

 視界ゼロのみこばあちゃんです。

おはようございます。

灼熱地獄の中,一日でもよい

過ごしよい日があったなら

がんばろうと元気を頂けもする。

それがこの旅の台風の置き土産であった。

 今は寝苦しい夜に池澤夏樹さんに夢中です。

 オリンピック選手にも時として想定以外の神様のいたずらが事故を戒めたりもする。

あたまのなかではこれでもかというくらいに

脳内にインプットされ切った動作が大部隊がその過程を阻んだりもする。

産経抄】8月8日 (2021年08月08日)

人の世に春夏秋冬があるように、「名人」と呼ばれる人にも黄昏(たそがれ)時は訪れ

る。噺(はなし)の途中で言葉がつかえた八代目桂文楽は、「勉強し直してまいります

」と言って高座を降りた。表舞台に戻ることはなかったという。

影を引く後ろ姿はいつの世も胸を打つ。体操の内村航平選手もそうだった。東京五輪

鉄棒で落下し「僕はたぶん、もう主役じゃない」。どんな名手にも逆らえぬ時の流れが

ある。姿を拝んだことはないものの、五輪の神様が世の無常を教えてくれたようでもあ

る。

五輪のメダルには、双翼を持つニケ神の姿が刻まれている。気分屋で知られる女神は、

ときに勝負の無情も教えてくれる。陸上男子400メートルリレーでは、正確さで鳴ら

す日本のバトンパスに綻(ほころ)びが出た。「これもスポーツだと思う」とは山県亮

太選手の嘆きである。

大迫傑の目が赤かった。これまで何度も流した悔し涙ではなく、ラストレースを走り切

った充実感からの涙だった。

東京オリンピック(五輪)陸上男子マラソンで6位に入賞し、「自分自身の力は出し切れ

たと思います。みなさんにメダルを期待してもらっていたけれど、今回はそういうチャ

ンスがなかった」と振り返った。

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自らの選択に言い訳はしない 貫いた流儀、大迫傑の原点とラストラン

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 チャンスはあったように見えた。30キロ過ぎ、五輪連覇を狙うエリウド・キプチョゲ

が先頭集団から抜け出た時に遅れた。ただ35キロ過ぎに2選手を抜いて6位に上がった。

さらに4人の2位集団に一時は15秒ほどまで迫っていた。

 大迫は言う。「(集団を)追うというよりは100%の力を出し切りたい、という思いで

自分のリズムを意識した」。大迫のマラソンは、体内のエネルギータンクと相談し、42

・195キロをしっかり走り切ることを第一にしていた。そうすることで記録も順位もつい

てきた。この日も大迫流を貫いた。

東京五輪を現役ラストにすると公にしてから10日余り。「最後の直線でこれが最後だと

思いました」。レース後すぐに後輩たちへの思いを口にした。「今日の6位を最低ライン

として、服部(勇馬)君や中村(匠吾)君たちがマラソン王国としてのプライドを持っ

て戦ってくれると思うし、それを手助けできるように僕も挑戦していきたい」

 練習拠点を米国に移したり、2度の日本記録を出したり、若手の育成に力を貸したり、

常に先頭を走ってきた。「頑張ったなあって思います。普通に」。大迫はそう言って去

った。(堀川貴弘)

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