耳かき。
ご機嫌いかがでしょうか。
視界ゼロのみこばあちゃんです。
おはようございます。
母の膝枕で、耳掃除をしてもらった思い出は鮮明ながらその気持ちよさは
身も心もほっこりさせられた忘れがたい良き思い出。
【朝晴れエッセー】癒やしの床屋さん・3月13日 (2021年03月13日)
石巻湾に注ぐ旧北上川河畔の一角にあった理容店は10年前の大震災で被災し、内陸
に移ってから足かけ7年になる。
高校時代下宿した叔母の家の近所であったご縁から、60年以上のお付き合いが今も
続いている。お世話になっている私が先生と呼ぶMさんは2代目で、今は娘さんご夫婦
が3代目を継いでいる。店名も「ヘアサロンAZ」に変わった。
先生は確か米寿を越したはずだが現役で私の専属である。ほぼ月に1度予約を入れて
訪れると満面の笑みが待っている。先生の理容の技量もさることながら、仕上げの耳掃
除が神業である。
顔をあたり蒸しタオルで拭き終えると、やおら私の胸元に耳掃除三種の神器「耳剃(
そ)り、耳かき、綿棒」を置く。耳慣れない耳剃りとは、例えればミニチュアのなぎな
たのようなもので産毛剃りである。
まずは耳穴の周りの産毛を剃る、かなり耳奥までチョリチョリという音が心地よい。
次いで耳かきの操作たるやスコープで覗(のぞ)いているがごとく、内部の形状に沿っ
て生き物のように動き回る。最後綿棒で優しく清掃して終了、夢心地からうつつにかえ
る。研ぎ澄まされた感覚を駆使したセンスあるプロの仕事だ。
座席のマッサージ機が小刻みにバイブして背中を揉(も)みしだく。癒やしの満足感
は神業への対価に余りある。スタバ顔負けのコーヒーをいただきながらの世間話にほっ
こりする。
私も震災で被災し隣町に移り住んだが、コロナ禍禁足生活の今もこの至福の時を求め
て通い続けている。