山系記者のがん闘病記。

     ご機嫌いかがでしょうか。

 視界ゼロのみこばあちゃんです。

 国民二人に一人のがんの発症はそれなりの覚悟もいる。

我が家の家計は大半が癌でなくなっている。

癌による痛み、鋭利な刃物でえぐられるような痛みには耐えられそうもない。

山系の記者の記者としての意欲度には感心させられます。

いやそれほどの目標があればこそ、頑張りきれたのだと頭が下がります。

 癌といえば 怒濤のように押し来るいろんな弊害の渦の中での戦いそのもの。

この治療に当たってはあまりにも苦しいため

ホスピスを選択する人も少なくない。

記者としての情熱を苦痛と戦うことで表現くださることに敬意を表します。

どうかすこしでもおだやかなときのながれでありますように・・・。

     山系より。

【続 消えるがん消えないがん】坂井広志記者の闘病記 上昇する腫瘍マーカー 薬の体内蓄積

で歩行困難に 「それでも生き抜く」

8月中旬、坂井は抗がん剤の副作用で足の裏が常にしびれて痛みを訴えるようになった。長時間

正座をした上で、裸足で砂利の上を歩いているような感覚だ。抗がん剤を使用し続けているた

め、薬の成分が体内に蓄積し、末梢(まっしょう)神経障害の副作用が強く表れたのだ。手足

の指先に、感覚はなく、ワイシャツのボタンをとめるのも困難になった。

しばらく我慢していたが、歩行も困難になったため、担当医に痛み止めの「サインバルタ」と呼

ばれるカプセル薬を処方してもらった。

今年1月に抗がん剤治療を始めてから朝晩に、抗がん剤のゼローダ7錠(当初は6錠)▽便秘の

副作用に対応するマグミット1錠▽逆流性食道炎に効果があるファモチジン1錠▽腹痛や腹部

膨満などの症状に効果がある漢方薬、大建中湯−と合わせて約10錠、服用している。

現在、サインバルタは夜だけ服用している。数多くの薬を服用するのは避けたかったが、痛くて

歩けないようでは取材活動に支障を来すと判断したからだ。

ただ、サインバルタは吐き気を助長する副作用があり、頻繁に吐き気を催すことになった。足裏

の痛みの緩和か、吐き気の防止か。

坂井は吐き気を我慢してでも足裏の痛みを緩和することを選択した。

〈吐き気を我慢してでも取材活動を続けたい〉

そんなこだわりからだった。その後、痛みは和らいだが、副作用の症状が出やすい冬の季節に入

ると、足裏の皮膚が切れて再び歩行が困難になった。

がんであることは何かと不便を生じる。坂井は5月、腎臓と尿管の間に直径約1センチの結石が

あることが判明した。治療方法は2つ。1つは尿管に内視鏡を挿入し、内部からレーザーで破

砕する方法。もう1つは体外衝撃波で破砕する方法だ。健常な体であれば体外衝撃波を選択す

るところだが、がん患者にとってそれは許されなかった。

抗がん剤の副作用で、血を固める役割を果たす血小板の数値が基準値より低いため、体外衝撃波

だと腎臓に血の塊ができてしまう可能性があったのだ。実際、鼻血を出したり、かすり傷をし

たりしただけでも、血はなかなか止まらない。

「がん患者に体外衝撃波はおすすめしません」

手術をした虎の門病院(東京都港区)の担当医はそう伝えた。坂井は担当医に従い、全身麻酔

してレーザーで結石を破砕した。

今後、坂井の治療はどうなるのか。7クール目がスタートした5月19日、担当医から「点滴の

オキサリプラチンは大切に使いましょう」と言われ、オキサリプラチンの投与を中止した。使

い続けると、足裏に生じているしびれがふくらはぎのあたりまで症状が及ぶ可能性があるため

だった。

もう一つ、理由はあった。担当医は言う。

抗がん剤はいつかは耐性ができてしまうんです」

いつか効かなくなる日が来るという。それがいつやって来るのかは人それぞれ。そもそも、小腸

がんの治療は確立しておらず、1次治療で使用しているのは大腸がん用の抗がん剤だ。

がん細胞が腹膜の中で肥大化したり、腹膜から内臓に転移したりした場合、オキサリプラチンの

投与を再開することになる。耐性が出てくる前に使用を一旦中止しようというわけだ。

8月10日、国立がん研究センター中央病院で担当医による小腸がんに関するセミナーが開催さ

れた。そこでは夢の新薬であるオプジーボ(一般名ニボルマブ)に関し衝撃的な事実が伝えら

れた。

「大腸がんにオプジーボは効かない…」

小腸がんの治療薬が存在しない中、大腸がんの治療薬を服用している坂井は、オプジーボの効用

が大腸がんにも及ぶことを信じていた。しかし、その希望は断たれた。希少がんは患者数が少

ないため、他の主要ながんと比較して治療の開発が遅れている。

現在使用している錠剤のゼローダや一旦投与を中止している点滴薬のオキサリプラチンが効かな

くなった際の対応について担当医は「2次化学療法に適切なものはなく、治療の開発が必要な

んです」と語った。

悲しい現実はこれだけではない。消化器系がんの腫瘍マーカー「CEA」の基準値は0〜5。国

立がん研究センター中央病院に通院を始めた1月5日は1・9だった。だが、4月から基準値

を上回るようになり、最近では、9月1日は6・7▽11月2日は7・3▽12月15日は8

・4−と上昇傾向が続いている。

緊急入院、手術、がん告知と怒濤(どとう)の日々を過ごした昨年12月。当時、入院していた

国立病院機構水戸医療センター茨城県茨城町)の病室で横たわっている写真を目にし、思わ

ず目頭を熱くした。

〈よく1年間生き延びたなあ。現実は楽ではないが、生き抜くしかない〉

坂井は改めて決意した。(敬称略)