よぼよぼの80台を 過ごさないために…

  ご機嫌いかがでしょうか。

 視界ゼロのみこばあちゃんです。

おはようございます。

日本列島のどこかでは、桜の早咲きも報告されています。

 食糧の自給率も37%となっています。

生かされることも大変です。

ペシャワールに 亡き中村先生の思いを次いで食料が贈られるようです。

肉が大好きな人は健康年齢も高いような気もしています。

実際、コレステロールが高めの人や、太めの人のほうが、

高齢になってからの死亡率が低いことが明らかになっています。  

高齢者をあまり診ていない人による旧来型の医療常識に縛られず、

70代をどう生きるかで、残りの人生が大きく違うというのが、

私の30年以上の臨床経験からの実感です。

●いまの70代は、 かつての70代とはまったく違う  

私はこれまで30年以上にわたって、高齢者専門の医療現場に携わってきましたが、

日本人にとっては今後、70代の生き方が、老後生活において、

非常に重要になってくると考えています。  

70代の生き方が、その後、要介護となる時期を遅らせて、

生き生きとした生活をどれだけ持続できるかということに、大きくかかわっているから

です。

なぜ、70代の生活が、その人の晩年のあり方を左右するようになってきたのか、

まずはそこから本書を始めようと思います。  

現在の70代の人たちは、戦前生まれの人が70代になった頃と比べて、

格段に若々しく、元気になってきました。  

戦後の大幅な出生人口増加期に生まれた団塊の世代(1947~1949年生まれ)の

人たちも、

2020年には、みな70代になっていますが、

この団塊の世代に代表される現在の70代は、少し前までの70代の人とは、大きく違

います。

身体の健康度、若々しさがまったく違うのです。  

たとえば1980年当時、60代後半、

つまり65~69歳の人のおよそ10%近くの人が、普通に歩行することができません

でした。

しかし、2000年には、正常歩行できない人が2~3%に激減しています。

●第2次世界大戦後 元気な70代が増えた理由  

私も高齢者を長年診ていますが、かつての70代は、それなりによぼよぼしていました

が、

いまの70代は、まだまだ元気な人が多く、10歳くらい若返ったような印象です。  

このような元気な70代が増えた理由には、

第2次世界大戦後の栄養状態の改善が挙げられます。

戦後の食糧難にあえぐ日本に、アメリカから余った脱脂粉乳が大量に送り込まれました

が、

このころから日本人の栄養状態が改善します。  

成長期の栄養状態が改善したことで、日本人の寿命は延び、体格もよくなり、

現在の若々しい元気な高齢者を出現させています。  

戦後の結核の撲滅については、ストレプトマイシンという抗生物質のおかげだと考えて

いる人も多くいますが、

実際は、タンパク質を多くとるような栄養状態の改善が、

免疫力の向上をもたらしたことによって可能となったのが真相です。  

そもそもストレプトマイシンは、結核になってからの治療薬であって、

それが結核を激減させた理由にはなりません。

結核を予防するBCG接種も、開始されたのは1950年ころからです。

赤ちゃんのときに接種して、その効果で結核が減るとしても、統計に現れてくるのは、

少なくとも赤ちゃんが成長した10年後くらい、1960年代くらいからになるはずで

す。  

しかし、結核の減少は、1947年くらいから始まっています。

これは、アメリカからの支援物資による栄養状態の改善時期と一致します。  

戦前の日本人も摂取カロリーでいえば、それなりにとっていましたが、

タンパク質は、驚くほどとっていませんでした。

そのため免疫力が低く、結核で亡くなる人が多かったのです。

それが戦後の栄養状態改善で結核が減り、若いときに死ぬ人が激減しました。

これによって平均寿命が一気に延びたのです。

若くして亡くなる人を減らすことが、平均寿命を延ばす大きな要因になります。  

また、それと同時に日本人の体格も向上していきます。

男の平均身長が170センチを超えたのが、1970年前後です。

昔は、子どもの頃の栄養失調もあって、小さい高齢者がときどきいましたが、

いまではほとんどいません。  

戦後生まれの人たちは、こうして平均寿命を延ばし、体格も立派になって、

健康で若々しさを保つようになってきたのです。

その先駆けが、いま、70代を迎えている人たちなのです。

●もはや70代は現役時代の延長で いられる期間となった

日本よりも栄養状態のよかったアメリカでは、

これまでの世代とは違った元気な70代が、日本よりも一足先に社会に登場します。  

1974年、アメリカの老年学の権威であるシカゴ大学のベルニース・ニューガートン

は、

それまで65歳以上を高齢者とみなしていた社会に対して、

75歳くらいまでは、体力的にも、知的機能的にも中高年とたいして変わらないと提起

します。

そして、その世代を「ヤング・オールド」と呼びました。  

さらに、75歳を過ぎるころから、認知機能が落ちてきたり、病気などで、

介護が必要な人も出てくる世代ということで、「オールド・オールド」と定義しました

これはのちに、日本における前期高齢者、後期高齢者という考え方につながっていきま

した。  

しかし、ニューガートンがこの考え方を提唱した1970年代当時の日本では、

まだ、75歳の日本人たちは、若いころの栄養状態も悪く、身体も小さく、

老いるのが、いまより早かったのです。

そのため、アメリカの高齢者のように元気と言える状況ではありませんでした。  

それが1990年代に入ったあたりから、日本でも元気な高齢者が増えてきました。

私は1988年から浴風会という高齢者専門の総合病院に勤めていましたが、

多くの高齢者を診てくるなかで、次第にニューガートンと同じ考えを持つようになりま

した。

1997年には、『75歳現役社会論』(NHK出版)という本を著し、

そこで、75歳くらいまでは、知的機能や体力、内臓機能など、中高年のころと大差な

く、

現役時代同様の生活ができるということを説きました。

そして、当時からさらに20年以上が経ったいま、

医療はさらに進歩し、70代の人の要介護比率も改善してきています。

その現実を踏まえれば、現在の日本では、75歳ではなく、80歳までは、

多くの人が現役時代のような生活を送れる可能性がある社会になってきたと言えるでし

ょう。  

これまでは70代ともなると、大病を患ったり、病院での生活を強いられたり、

介護が必要となったりする人もそれなりにいましたが、

今後は、自立して多くの人たちが70代を過ごすことになっていきます。

70代の10年間は、ある意味、中高年の延長で生活できる期間となったのです。  

それは、人生における「最後の活動期」と言ってもいいと思います。

70代が活動期になったからこそ、その過ごし方が、

80代以降の老いを大きく左右するようになったのです。  

70代であれば、身体も動くし、頭もはっきりしていますから、

日々の生活の心がけ次第で、80代以降の健やかな生活につながります。  

ただ、70代には特有の脆弱さもありますから、放っておいたら衰えは進みます。

だから意図的に、心がけることが大事になってきます。

●「人生100年時代」に70代はターニングポイント

現代の日本において、70代の過ごし方が重要性を増してきた理由には、

超長寿化によって、老いの期間が、

これまでより延長するようになってきたという点も挙げられます。  

そもそも、前述したように、これまで日本人は、戦後の栄養状態の改善によって、

大きく寿命を延ばし、前の世代よりも若々しくなってきました。