インフレに強くなりたいもの。

  ご機嫌いかがでしょうか。

 視界ゼロのみこばあちゃんです。

おはようございます。

catsupも7年ぶりの値上げを表明しています。

本当に険しい時代に突入しているような気がしています。

寒い朝も心したいものです。

大地では、推薦 チューリップなどが出番に向けて静かに勢いを増してもいます。

耐えて生きる生き方もあること教えてもらってもいます。

 昔であれば半導体は日本経済の牽引でもありました。

輸出材料も全部頼らなければいけません。

目が行きがちなのが食費ですがそうではなく材料一般です。

日本人は物価上昇の悪い面をあまりわかってない 野口 悠紀雄

輸入価格が異常な上昇を示している。 こちら

対前年同月比の上昇率は、2021年8月に30%を超え、11月に45.2%、12月に41.9%となっ

た。これは、1979年末から1980年にかけて80%を超えた時以来の高騰だ。

企業物価の対前年同月比上昇率は、11月9.3%、12月8.5%となった。

OECD経済協力開発機構)の発表によると、2021年11月の加盟国の消費者物価の対前年

上昇率は5.8%となった。これは、1996年5月以来の高さだ。

アメリカが6.8%、ドイツが5.2%、イギリスが4.6%、トルコが21.3%などとなっている。

消費者物価はどうなる?

日本の消費者物価上昇率は、一見すると諸外国に比べて低い。生鮮食料品を除く総合指

数の対前年同月比は、12月には0.5%だ。

ただし、これには、携帯電話の通話料引き下げの影響がある。12月で、消費者物価に▲1

.48%ポイントの寄与率だ。

それがないとすると、消費者物価上昇率はすでに1.98%に達していることになる。

これまでの経験則からいうと、輸入価格の変動が、数カ月のタイムラグで、消費者物価

の変動に影響を与えている。輸入物価が40%上昇すれば、それから数カ月後の消費者物

価指数の上昇率が4%程度になってもおかしくない。

事実、消費者物価の予想上昇率は高まっている。日本銀行が1月11日に発表した生活意識

調査によると、一年後の予想物価上昇率の平均は5.5%だった。これは、2008年12月の5.7

%以来の高水準だ。

パニックが起これば、価格転嫁が容易に

消費者は、生活必需品の値上げに敏感になっている。

第1次オイルショックの時に、トイレットペーパーなどの買いだめが起きた。これと同じ

ようなことが起きないとは言えない。

不合理な買い占めは、ごく最近も起きた。2020年の春ごろに起きたマスクの買い占めが

それだ。マスクの売り場に長蛇の列ができ、インターネットでの発売は開始直後に注文

が集中して、サイトがダウンしてしまった。マスクだけでなく、一時はティッシュペー

パーなどもコンビニエンスストアの棚から姿を消した。

新型コロナの影響で消費が弱いことから、企業が値上げに慎重だという見方がある。

確かに、旅行などの選択的消費についてはそうだろう。しかし、日用品や食料品などの

生活必需財は、値上がりしても消費者は購入せざるをえない。

食料品は買いだめできないが、トイレットペーパーならできる。パニックにとらわれれ

ば、人々はこうした行動に走る。

恐ろしいのは、パニック心理が、インフレを加速させる危険だ。人々がパニック心理に

とらわれれば、企業は、原材料高を製品価格に転嫁することをためらわないだろう。

物価の上昇に対して、賃金は上がるだろうか?

毎月勤労統計によると、2021年10月の現金給与総額の対前年比は、0.2%の上昇にすぎな

い。

今後仮に上昇率が上がるとしても、物価上昇を補うのが精一杯だろう。実質賃金が上が

るような事態になるとは、到底考えられない。したがって、勤労者世帯の生活は厳しく

なるだろう。

2020年は、勤労者世帯の収入が減少していないにもかかわらず、一律定額の特別定額給

付金が給付された。本当に生活保障が必要なのはこれからの物価上昇に対してなのだが

、それに対して特別給付金が与えられるはずはない。

年金生活者の生活は苦しくなる

それでも、賃金で守られる人々は恵まれている。

年金生活者の場合、事態はもっと深刻だ。

年金は物価にスライドして上昇する。しかし、物価上昇率が一定限度を超えると、マク

ロ経済スライドが発動される。

これまでは物価上昇率が低かったために一度しか発動されていないのだが、実際は物価

上昇率が高まると発動される。これがフルに発動されると、名目額が0.9%減少する。だ

から、年金の実質価値は低下することになる。

それだけではない。物価上昇率が低いために調整できなかった分を、物価が上昇したと

きに調整する仕組み(キャリーオーバー)が2018年4月に導入された。

物価上昇率が高くなると、この仕組みによって、年金額が大幅に引き下げられる。だか

ら、高齢者世帯の生活が苦しくなることは、ほぼ間違いない。これによる年金減少分は

、インフレが収まっても取り戻せない。

さらに大きな問題は、貯蓄の実質額が目減りすることだ。銀行預金などの名目資産で持

っている場合には、確実に物価上昇分だけ下落する。

また、それ以外の形態での資産でも、実質価値が守られる保証はない。

このようにして、勤労者世帯や高齢者世帯の生活が困窮する。

それに対して、名目負債を保有する主体は利益を得る。その典型が、国である。

国の債務である国債の実質債務は、インフレによって著しく減少する。

それだけではない。すでに述べたように、物価上昇率が低いと年金のマクロ経済スライ

ドを実行できないが、インフレ率が一定率以上に高まれば実行でき、年金の実質額を減

少させることができる。

公的年金の給付額は、2019年度で55.4兆円だ。20年間では1000兆円を超える。これは、

普通国債残高(2021年度末で990兆円)を超える額だ。

年金財政の維持のためにも、物価上昇率が高いことが望ましいのである。

したがって、国はインフレを志向している。少なくとも、自ら望んでインフレを抑制す

インセンティブは持っていない。「インフレ税は最も過酷な税だ」と言われるが、そ

のとおりなのである。

これに対抗して通貨価値を守るために設けられているのが中央銀行だ。

実質実効レートを金融緩和直前の水準に戻すだけで

いまの輸入物価高騰の原因となっている原油価格の上昇や国際的サプライチェーンの混

乱は、日本にはいかんともしがたい。

しかし、金融政策で為替レートに影響を与えることは可能であり、実行すれば、大きな

効果を発揮できる。

2012年頃にも原油価格が上昇して、1バレル100ドル程度になった。しかし、この時には

円高であったために、国内物価への影響は限定的だった。

いまでも、円高になれば、輸入物価の上昇を食い止められ、国内の物価上昇を抑えるこ

とができる。

2010年を基準とした円の実質実効為替レート指数を見ると、金融緩和が始まる直前の201

3年春に100程度であったものが、2021年11月には、67.79にまで低下している。

円の購買力が2012年と比べて3割以上低下しているのだ。

これを金融緩和前の水準に戻すだけでも、円ベースの輸入価格は3割以上下落することに

なる。そして、資源価格の高騰を帳消しにすることができる。

これまで企業は円安を求めてきたが、現在の状態では、原材料価格の高騰を抑えるため

に円安是正を望むはずだ。

中央銀行の役割は重大

通貨価値の安定は、中央銀行に課された最も重要な責務だ。

各国の中央銀行は、新型コロナウイルス対策として行ってきた金融緩和から脱却し、イ

ンフレを抑える方向に明確に方向転換しようとしている。

アメリカのFRB連邦準備制度理事会)が金融緩和からの脱却をはかり、金融引き締めに

向かって懸命の努力をしているのは、中央銀行に課された責務を果たすための当然の行

為だ。

イングランド銀行は、2021年12月に金融引き締めに転換し、利上げをきめた。オミクロ

ン株の感染が広がり、経済活動を圧迫するおそれが強まっているにもかかわらず、こう

した決定を行った。

ポーランド国立銀行も、1月4日に政策金利を引上げた。

韓国銀行は、1月14日、政策金利を0.25ポイント引き上げて1.25%とし、20年3月の金利

水準に戻った。

日本銀行は、1月18日の金融政策決定会合で、2022年度の物価見通しを、これまでの0.9

%から1.11%に引き上げた。しかし、金融緩和の基本的方向に変化はないとしている。

日本銀行がこれまでどおりの金融緩和を続けるのであれば、以上で述べたことがまった

くの杞憂にすぎず、現在の金融政策を続けても国民生活が脅かされることはないと、説

明する責任がある。

また、もし何らかの理由で、国民生活を犠牲にしても金融緩和を継続しなければならな

いのであれば、その理由を国民に納得できるように説明する必要がある。

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