高齢はみな初心者。

ご機嫌いかがでしょうか。

 視界ゼロのみこばあちゃんです。

おはようございます。

日本の新コロナ感染は85名と増えています。

バックには「myウエイ」」が流れています。

北海ド王は嵐というのに

こちらはあったかく感じています。

第一級の寒気団が日本列島を襲うとか来る前から身構えています。

自分が高齢者になるとは誰もが初心者です。

 みこちゃんは室内用の杖を買いそろえています。

高齢になるとどのようなハプニングに見舞われるかわからないことも

自覚していないと暮らしはありません。

花柄の杖とは恐れ入りました。

気持ちまで明るくさせられますよね。

高齢のハプニングも生きるための階段かもしれないです。

【家族がいてもいなくても】(715)思い出を「杖」として

先日の午前中、机の前で2時間ほどの仕事を終え、椅子から立ち上がろうとしたら、立

てない。

ものすごく痛い。

痛い、痛い、痛い…、と部屋の中で1人声をあげるもどうにもならない。机に手をつい

て、なんとか歩こうとしたが歩けない。困惑しつつ腰を曲げたままで、しばし呆然(ぼう

ぜん)としていた。

そのうちに、ようやくそろり、そろりと歩けるようにはなったものの、なぜ突然、こう

いうことに? と途方に暮れてしまった。

それから、気を取り直し、数軒先の友人のところへ行って、「腰が…」と訴えたら、彼

女がニヤリとした。

「誰でも年をとるとね、そういうことがあるのっ、大丈夫、まだ治るから」

「ええっ、治るの? いつ?」

「数日かな、ま、1週間かな」

それを聞いて、ほっとしたような、情けないような。

どうも年甲斐(がい)もなく動き過ぎたらしい。原因は、数日前の「原っぱ」イベントで

、豚汁の大鍋を1人で運んだり、一日中立っていたりしたせいと断定された。

聞けば、若いときは、無茶(むちゃ)をするとすぐ症状が出る。ところが、高齢になると

、数日後になって症状が出てくるのだそうだ。

そんなことを私は聞いたこともなかったけれど、何人もの人がそう言うので、それが常

識というものらしい。

これって、速度の遅くなったコンピューターみたいなことなのだろうか。脳に情報が伝

わって、体に「防御せよ」と指令が出るのがずいぶんと遅くなっちゃった、ということ

だろうか…。

などと思いつつ、彼女から「いつなにが起こるかわからないのだから、これを常備せよ

」と杖(つえ)を貸してもらった。

借りた杖は華やかな花柄で、おしゃれな彼女は、こういうところにも手を抜かないのだ

なあ、と感心してしまった。

さらに、部屋に戻って彼女がくれた湿布テープを背中や腰に貼りまくり、しばしベッド

に横たわっていた。

そして、しみじみ思った。

このまま歩けなくなれば、運転もできなくなり、旅にも行けなくなり、掃除も片付けも

、ペンキ塗りもできなくなるのだなあ、と。

そんな自分を支えてくれるのは、いくつかのかけがえのない思い出だけ、と記憶をたど

り始めたらせつなくなってしまった。

こうして、わが身になにかが起こる度に「老いの自覚」を更新する日々へと、私は向か

っている。

(ノンフィクション作家 久田恵)