癌の告知からどのようにロングスパンと向き合うか!!

     ご機嫌いかがでしょうか。 視界ゼロのみこばあちゃんです。

 がん発生からの治療期間は、昔に比べ長期にわたって

いるのではと思います。

 この長い療養機関をおひとり暮らしが受容して

生きるには苦難坂をどう受け入れればよいのやらと悩んでしまいます。

 母の兄弟たちは、母のあの苦しみようを見てきているため

3人もの兄弟が母の後を急ぐかのように旅立ちましたが

誰一人として手術は受けませんでした。

また父の兄弟も苦しみをコラへて

我慢に我慢を重ねたうえ、ぎりぎりまで我が家で暮らし

入院二週間であの世に旅立ちました。

 それがよかったのかどうかはわかりませんが…

いとこ4人も手術もしないで早く旅立ってしまいました。

 親戚演者の脳裏には癌=治らないと思い込んでいるところは

超えようのない見解なのかと悲しすぎる学習の一端を見せつけられたような気がして

長くたった今名を、涙の中に追い詰められたりもします。

いとこ3人も癌サバイバーとして積極的治療と「行きたい」を目標に

まだ癌になっていないみこちゃんの背筋を伸ばしてくれるかのような

癌サバイバーを乗り切っています。

関西に生きるいとこは、主人に若くして死別し

胃がんが発見されたときはステージ4でしたが

手術、それに5クールもの抗がん剤の治療と

病院で管理栄養士として勤務していたこともあって

かなり食事には時間をかけ努力の人さながらです。

 阪大では登山は止められてはいましたが、覚悟の中で

登山は5年になる今もあまり高い山ではないにしろ

いまだに続けています。

親の墓参りにも年に一度は必ずきて元気ぶりを知らせてくれています。

 みこちゃんの目標はこの従妹が目標です。

 がんと上手に付き合うための心得を知っていますか?

 「あわてず、あせらず、あきらめず」すなわち、「3つの“あ”」「3A」

 私は、最近、“トリプルA”と呼んでいますが、これが実に良い言葉と思っています

 この言葉は、もともとは、中国の古い格言だそうです。

 この言葉を最初に知ったのは、浜松オンコロジーセンターの渡辺亨先生からでした。

渡辺先生は腫瘍内科のパイオニアで、私をこの道に導いてくださった師匠でもあります

国立がんセンター中央病院(現、国立がん研究センター中央病院)時代に、優しく、

厳しく指導してくださった恩師です。

 その渡辺亨先生が、再発・進行がんとの付き合い方ということで、患者さんによくお

話しされている言葉と聞きました。

 とても良い言葉で、私もよく患者さんに対して使わせていただいています。

 がんが、再発・転移しますと、患者さんとしては、気が気ではありません。

 このがんが、どんどん進行していって、自分の体がどうにかなってしまうのではない

か?命に関わるようなことになってしまうのではないか?

 手遅れになってしまうのではないか?などと不安になります。

 このような時に、「あわてず、あせらず、あきらめず」が大事なのです。

患者さんへの処方箋

 Kさんは、卵巣がんで手術を受け、術後に抗がん剤を受けました。

 抗がん剤の終了した10か月後に、腫瘍マーカーが増え、PET-CTでお腹(なか

)の中のリンパ節と、左の鎖骨の上のリンパ節に転移が見つかりました。

 主治医からは、「再発なので、すぐに抗がん剤治療が必要」と言われたのですが、あ

まりにもショックが大きすぎて病院に通うことすらできなくなってしまいました。

 「自分は、絶対治ると思っていた。あんなに大変な手術や抗がん剤もやったのだから

、絶対大丈夫と思っていた。なのに再発するなんて……。なぜ、早く見つけられなかっ

たのだろう。もっと検査をやっておけばよかったのかな。再発したら、治らないと聞い

た。私はすぐに死んでしまうのかもしれない。どうせ死ぬなら、つらい思いをして死に

たくない。抗がん剤なんてやりたくない。でも抗がん剤やらないとがんが進行していく

のかしら。どうすればよいの?」と、悶々(もんもん)と1人で考え込んでしまったそ

うです。

 いくら考えても答えが出ませんでした。

 Kさんは、そのときの気持ちを、

 「真っ暗闇の中のトンネルの中をさまよう気分だった」と語っています。

 がんの患者さんで、がんの診断や、再発の診断を受けたときの状況をこのように表現

される方は多いです。

 「出口の見えない真っ暗闇。一点の光も希望も見いだせない不安な気持ち」

 また、

 「オールのない小舟に1人で乗せられて、大海に放り出されたような気分」

 とも聞きます。

 Kさんは、再発するまでは、アパレル関係の仕事をバリバリされていたそうですが、

再発と聞いた瞬間から、まったく仕事にも手がつかなくなりました。

 そんなKさんが、つてをたよって、私の外来を受診しました。

 まず、Kさんのこれまでのお話を、がん専門看護師と一緒にじっくりと聞かせていた

だきました。

 病状だけでなく、家族のこと、ご主人が若くして亡くなった後も1人でがんばってき

たこと、がんの手術を受け、抗がん剤もやったが、これまでは、明るく前向きにやって

きたこと。

がんが“再発”したと聞いた瞬間から、生活が180度変わってしまった、z 何をする

のにも気力がなくなり、仕事をすること、料理をつくることもできなくなってしまった

と。

 彼女の抑うつ症状はかなり強かったので、精神科医師にもかかっていただいて、抗う

つ剤の処方を受けました。

 その後、彼女は少しずつですが、徐々に病状を受け入れられるようになりました。抗

がん剤も受け、現在では、以前のような笑顔が戻り、元気に通院されています。

 Kさんには、医学的なカウンセリングや処方も功を奏したのだと思いますが、

 Kさんを支え、励ましてくれた言葉が、

 「あわてず、あせらず、あきらめず」

 でした。

 私は面談の最後に、

 「あわてず、あせらず、あきらめず」

 の言葉を紹介し、

 「紙に書いて貼っておくとよいと思いますよ」

 と言ったところ、

 彼女は、本当にそれを書いて棚に貼り、毎日唱えていたそうです。

 毎日唱えることによって、再発と診断され、あせってしまう心、落ち着かない心を癒

やしてくれたようです。

あわてず

 がんと診断されますと、患者さんは気が気ではありません。

 たいていの人は、がんと診断されるのは、初めてのことです。

 “どうしよう、早く治療しなければ、どこで治療すれば?”

とあわててしまいます。

 早く治療をしようとするあまり、十分な情報も得ないまま、あまり専門でない病院で

治療を受けてしまったりします。

 症状が進行性で、全身状態が悪い場合を除いて、緊急に処置や治療が必要な場合は、

そう滅多にあることではありません。

 たいていの場合は、少なくとも数週間の時間的余裕はあります。

 がんの種類、状態にもよりますが、症状がなく、がんの範囲が広がっていない場合に

は、治療を急ぐ必要がない場合が多いのです。

 あわてず、じっくりと情報を集め、適切な治療を受けることが大切と思います。

あせらず

 がんと診断されますと、たとえ症状がなかったとしても、落ち着いてはいられません

 “このまま放っておいたらどうなってしまうのだろう? すぐ死んでしまうのかしら

? 何かできることはないのか?”

 とあせってしまいます。

 あせってしまうと、冷静な判断ができなくなります。

 がんと診断されたとしても、再発と診断されたとしても、すぐにどうこうなってしま

うわけではありません。

 明日にでも命がなくなってしまうことももちろんありません。

 まずは、心を落ち着けて、深呼吸をし、ご自身の日常を取り戻すことも大切です。

 がんと診断され、「今までの生活が全く壊れてしまった」ともお聞きします。

 がんと診断されたからといって、日常生活が全くできなくなるわけではありません。

 今までどおり、できることはあるはずです。

 おいしいものを食べてもよいと思います。

 心地よい音楽を聴くこともよいと思います。

 できることは何でも良いです。

 まずは、普段ご自身が日常生活でしていることをすることで、日常の自分を少し取り

戻してみてはいかがでしょうか。

 そうすると、少し心が落ち着いて、少し冷静さを取り戻すことができるのではないで

しょうか。

あきらめず

 がんとうまく付き合う秘訣(ひけつ)“トリプルA、あわてず、あせらず、あきらめ

ず”の三つの言葉のうちで、最も大切なのが、“あきらめず”だと思います。

 がんと診断され、再発と診断され、

 「自分ではどうすることもできない、やる気もでないし、自分はもうどうなってもよ

い」、と自暴自棄になってしまうことがあるかもしれません。

 どんな状況になったとしても、あきらめてはいけません。

 必ず、何かできることはあるはずです。

 何らかの対処方法は必ずあります。

 治療法がなくなってしまうこともありません。

 どんな進行がんになったとしても、治療がなくなることがありません。

 がん患者さんが医師から言われる最も傷つく言葉(注2)の一つに

 「もう治療法がありません」

 があります。

 医師からこのように言われたとしたら、誰でも絶望的な気持ちになってしまうと思い

ます。

 これは、がんが進行し、積極的治療が難しくなったということを意味しているのだと

思います。

 がんが進行して、全身状態が弱ってきているときに、抗がん剤などの積極的治療をや

りますと、命を延ばすどころか、かえって命を縮めてしまうようなこともあります。こ

のような場合の抗がん剤は、それこそ、体をボロボロにしてしまいます。

 実際には、治療がなくなってしまうわけではありません。

 緩和的な治療、症状を和らげていく治療は、患者さんの生活の質を保っていく上でと

ても大切な治療です。緩和療法・緩和ケアもきちんとした治療法の一つです。

緩和ケアにも治療効果がある

 最近の医学研究で、早期から開始する緩和ケアが、がん患者さんに延命効果をもたら

すという研究結果があります(注3)。

 ハーバード大学の研究で、抗がん剤と並行して、緩和ケアを開始すると、患者さんの

生活の質を向上させ、うつ症状を軽減させ、過剰な抗がん剤も避けることができました

。そして、驚くべきことは、緩和ケアを早期に開始することによって、延命効果がもた

らされたというのです。

 これまでは、“緩和ケア”というのは、対症的な療法であり、治療効果はないと考え

られていましたが、その概念を打ち壊す画期的な研究結果だったと言えます。

 ですから、

 “進行がんになったとしても、治療がなくなることはありません”

 と言ってよいと思います。

医師にも必要な“あわてず、あせらず、あきらめず”

 “トリプルA、あわてず、あせらず、あきらめず”

 は、患者さんだけでなく、医師にも言えることと思います。

 腫瘍マーカーが少し増えただけなのに

 「すぐに治療をしましょう」

 と言ってしまう医師

 治療をあせってしまい

 「早くやらないと死んでしまうよ」

 と患者を脅す医師

 「もう治療はない、ホスピスに行ったらよい、旅行でもしたらよい」

 と言う医師

 医師が、あわてて、あせってしまったら、患者さんもあわて、あせってしまいます。

 医師が、あきらめたら、患者さんは、絶望に陥ります。

 医師も

 “あわてず、あせらず、あきらめず”

 がんから逃げないで、患者さんと一緒に病気と向き合い、

 患者さんと一緒に最後まであきらめず、患者さんに安心を与えることができるような

存在であってほしいと思います。

参考

1. 国立がん研究センターがん対策情報センター. がん統計.