不透明な核問題。

     ご機嫌いかがでしょうか。

 視界ゼロのみこばあちゃんです。

 北朝鮮核兵器の断念を迫るとはいえ

核兵器にだけこだわって多くの犠牲も強いてきたのであろうから

これを断念など、どこの国にもできようはずがない。

 北朝鮮における「ノドン」の問題も浮上してはいるが

これは日本の米軍基地の攻撃に向かうことになるのだろうかと

いろいろな臆測が波及してきていることもまぎれもない。

日本丸の舵はどのような

方向に向かおうとしているのでしょうか。

ひたすら核兵器のない日本を願い続けるしかありません。

アサヒコムより。

核戦略と日本 これが被爆国の談話か (2月7日)

これが世界唯一の戦争被爆国である日本政府のとるべき態度か。米国の核軍拡に追従する姿勢か

らは、「核なき世界」をめざす意思の片鱗(へんりん)も見えない。

米トランプ政権が出した核政策の指針「核戦略見直し」に対する反応である。核廃絶の理想を捨

て去った、この指針について河野外相は「高く評価する」とする談話を出した。

指針は、核を使う姿勢を強めて相手を抑止する発想に貫かれている。小型の核の開発で使いやす

さを高め、核以外の攻撃にも核で応じる可能性を示した。

河野氏は「核抑止と核軍縮は相反するものではない」というが、指針の内容は明らかに核軍縮

流れに逆行している。

究極兵器を使うハードルを下げ、予測困難な要因で核戦争に陥ればどうなるか。4年前の外務省

委託研究は、人口100万の現代都市で広島原爆級なら約27万人、水爆なら約83万人の死

傷者が出ると推計している。

核の非人道性を身をもって知る国として、日本には世界の核軍縮を率先する使命がある。なのに

、対米同盟の狭い枠内でしか核問題を考えていないのが今の日本政府の姿だ。

米国の指針は、昨年に国連で採択された核兵器禁止条約についても「全く非現実的」と冷視して

いる。指針に寄り添う河野氏には、条約を推し進める国際世論との接点を見いだす意欲もない

のだろうか。

東アジアの安保環境の中で、日本が米国の「核の傘」の下にあるのは事実である。だが、同じく

傘の下にあるドイツのガブリエル外相は米の指針に苦言を呈す。「核軍拡競争が進めば、欧州

は危うくなる。だからこそ新たな軍備管理・軍縮に動かなければならない」と。

おりしも、オバマ前政権がロシアと交わした戦略核削減の条約は今週に履行の期限を迎え、両国

とも削減達成を発表した。ここから世界は核軍拡・拡散に向かうか、核軍縮・廃絶に向かうか

、大きな岐路にある。

一昨年春、広島で安倍首相はオバマ前大統領と並び、核なき世界をめざすと語った。米政権が変

われば誓いも変わるというのでは、あまりに浅薄だ。

日本政府は毎年、国連に核兵器廃絶決議案を出し、核保有国と非核保有国の「橋渡し」役を任じ

てきた。いま一度、日本の責務を見つめ直す時だ。

同盟国だからこそトランプ政権の核軍拡に歯止めをかけ、冷静に北朝鮮問題の打開を探る。被爆

者団体と協調し、核廃絶をめざす外交の発信力を高める。その努力が求められている。

     山系より。

【正論】核保有により得るもの、失うものは何か 日本の核問題を理性的に論ぜよ 元駐米大使

加藤良三

北朝鮮の核・ミサイル問題は日本の国防を現実感をもって考える、好個の機会となるだろう。

≪アメリカは直ちに反撃に出るか≫

今、北朝鮮核武装というと専ら核弾頭と大陸間弾道ミサイルICBM)に焦点が当たる。し

かし、日本の立場からすると、既に北朝鮮が200基以上を実戦配備している核搭載可能な中

距離ミサイル「ノドン」が深刻な問題である。ノドンは最大射程1500キロでアメリカには

届かないが、日本全域をカバーする。そして実質的には、日本に向けられたミサイルである。

仮に日本がノドンによる(核)攻撃を受けたとして、アメリカが本土配備の戦略核をもってでも

日本を防衛するかという問題、いわゆる「デカップリング」がつとに提起されてきた。

それでも日本でノドンがそれほど議論されないのは、おそらく「北朝鮮の核は核以外の新型通常

兵器をもって始末できる」「ノドンによる対日攻撃はかなりの確率で在日米軍基地に対する攻

撃となろう。だから、アメリカがグアムやハワイの戦略爆撃機などですぐに反撃に出る」とい

う楽観論があるからだろう。

あるいは「火急の際に日本防衛ができないということでは、アメリカの権威や前方展開戦略の信

頼度が著しく傷つくことを当のアメリカ自身がよく分かっているはずだ」といった論拠に立つ

ものだろう。現にアメリカもそのような口頭の保障を1970年代以降、近くは2005年に

かけて日本に行ってきた。

しかし万一、北朝鮮の核保有を誰も止められなかった場合はもとより、一定条件の下(一例とし

て北が核化プロセスを「現状のまま凍結」、すなわちICBM実戦配備を停止するのと引き換

えに)北朝鮮が核保有国として認定されるといった展開になった場合には、日本では自らの核

武装をめぐる論議が本格化するだろう。

≪同盟は「運命共同体」ではない≫

ノドンを手つかずにしておくことは、日米ともに受け入れがたいはずだ。アメリカもそこはよく

理解していると思う。

アメリカのキッシンジャー元大統領補佐官、ペリー元国防長官、スコウクロフト元大統領補佐官

有識者は日本の核保有を現実的シナリオと捉え、それがアメリカにもたらす利害得失を分析

し、2003年頃には私自身、意見を求められたことがある。

1970年代には、日本でも核拡散防止条約(NPT)加盟をめぐって激しい議論が行われてい

る。NPTは普遍性の高い条約だが、発効時点(70年)で米ソ英仏中の保有の既得権を認め

る一方、非保有国の核化を禁じた。原子力の平和利用にも厳格な制約を課す「不平等条約」で

あり、「脱退」のハードルも極めて高いという理由からインド、パキスタンなどは加盟を拒否

した。

日本はアメリカによる核の傘提供の保障と、国の「至高の利益」(supreme inter

est)が損なわれるときには「脱退・核武装」を選択できるとの認識の下で76年、加盟に

踏み切った。

その後、日本は非保有国の最優等生となり、「核燃料サイクル」の保有という“特別の実利”を

得て今日に至る。その結果、日本はプルトニウムを約47トン蓄積し、早晩、兵器化されうる

ものとして周辺国などは神経をとがらせているようだ。

日本は核保有しなくても、非核兵器によって核の脅威に対抗できるという議論はあるだろう。そ

の場合はアメリカの抑止力との連結が必要不可欠である。緊急事態におけるアメリカの核持ち

込みへの制約の緩和(非核三原則などの一部見直し)といった施策は連結の強化に役立つだろ

う。

それでも、「同盟」は「運命共同体」ではない。対米信頼とは別に自国を守るための最終的手段

としての独自の核保有が必要だという議論もあるだろう。

≪議論を封殺することは禁物だ≫

英国やフランスの核保有はまさにそういう考え方に基づくものである。その方向に進む場合、日

本は日米安保体制へのインパクトを正しく分析することが必要不可欠である。

アメリカ政府が日本の核保有に肯定的か否定的かは即断できるものではない。核保有を選択する

場合、日本のNPT脱退は不可避である。国際的反響も見極めておくべきであろう。

要するに、核保有により得るもの、失うものは何か。実現のために必要な手順の如何(いかん)

について研究を進めることが重要である。実務者、専門家、有識者レベルの、冷静でタブーの

ない検討がまず求められよう。

そうした研究、検討を踏まえた国政レベルでの議論が行われ、民主主義、法治国家の定める手続

きを経て国策決定がなされるというのがあるべき姿だろう。

「先入観」に基づいて、議論を封殺することは禁物である。こうした議論自体が、健全な「抑止

力」につながることも期待できるだろう。(元駐米大使・加藤良三 かとうりょうぞう)