久しぶりに感動したお話。
ご機嫌いかがでしょうか。
視界ゼロのみこがあちゃんです。
おはようございます。
高齢者のシルバーカーのお方に差し伸べられた手袋の
ぬくもりは、いかばかりかと涙が保保を伝わりました。
お相手のお方は高齢者の介護ができなくて苦悩しておられたのだと推察しました。
このようなお人もあるのだと自分がとても恥ずかしくも思えたひと時でもあった。
できるだけのことができたならと自分を戒めるひと時でもありました。
【朝晴れエッセー】妻の記念の手袋・6月22日
妻が手押し車(シルバーカー)を押して、散歩に出ます。腰が曲がっていて危険ですの
で、私も従(つ)いていきます。
小さい角を2つ曲がって車販売店のビルの脇道を通ります。葉桜の木漏れ日の美しい路
地です。親切なあの方に初めて出会った場所でした。
あの日はあいにく2月の寒い日でした。車販売店の駐車場から下りてきた紳士が、声を
かけてくれました。
「奥様、お手が冷たくありませんか、ちょっとここで待ってください」。紳士は駆け足
で戻ってきて、妻に折り目のある紺の手袋を差し出しました。
妻は玄関に手袋を置き忘れてしまったのでした。「でも、でも…」と戸惑っている私た
ちに彼は、「私はこの販売店の店の者でございます」と自己紹介しました。紳士の胸の
名札の、店長という文字が私には垣間見えました。
紳士に頂いた手袋は、その後妻のうれしい記念品になりました。それから2、3度紳士
に出会い、多忙な身ながら家庭の事情まで話してくれました。母親の介護を姉に任せて
いて切ないと言いました。
紳士の年齢はわが長男と同じくらいに見えました。ということはお母様はきっと妻と同
じ80歳代でしょう。
再会の日はもうないと分かりました。木漏れ日の美しいその日が、お別れの日になって
しまいました。
「早期退職して母の介護に専念します、奥様くれぐれもお体大切に」。紳士の差し出し
た手を妻は固く握りました。その手に一滴(ひとしずく)、妻の涙が落ちました。この
ようなお人もあるのだと涙を以て拝見しました。