北朝鮮、 モラロジー研究所教授、麗澤大学客員教授・西岡力の見方。

     ご機嫌いかがでしょうか。

 視界ゼロのミコばあちゃんです。

北朝鮮情勢に関してはいろいろな見方がある。

 モラロジー研究所教授、麗澤大学客員教授・西岡は言う。

  北朝鮮の戦略はカードもなく、短期決戦しかないであろう。

だがぎりぎりまでは引き寄せて相手からの譲歩を引き出そうとするが

それもかなわないとなるとあっさり白旗を上げるには上げるが

また体力を蓄える戦力であるかもしれないとのこと。

 でもこれは、経済に関しては抜け穴もあるのでその余力はあるともいえよう。

金正恩が自滅行為を覚悟で挑発しているとも思えない。

勝ち目のない挑戦などすることはない。

北朝鮮なりの戦略もあるはず。

中国の権力など計算済みともいえよう。

何はともあれ、穏やかな終息を祈るだけです。

     産経より。

【正論】外貨枯渇で政権が長く持たない焦り 金正恩氏は短期戦に出てきた モラロジー研究所

教授、麗澤大学客員教授西岡力

9月3日、北朝鮮が6回目の核実験を強行した。160キロトンの威力があった。広島に投下さ

れた原爆の10倍以上だ。

私は4月26日付本欄で「筆者が北朝鮮内部筋から入手した情報によると、金正恩朝鮮労働党

員長は4月15日の金日成生誕105年記念日までに6回目の核実験を行う準備を完了させて

いた。今回は100キロトン級の爆発力を持つ、小型化された核弾頭の爆発実験だ」と指摘し

た。前回の実験が10キロトン程度だったのに100キロトン級とは大きすぎないかと内心思

ったが、情報源が断定的にそう伝えたのでそのまま紹介した。

労働党39号室の統治資金が鍵に≫

今回の実験は4月に延期していたものを、実行したと思われる。実は前回の本欄執筆後、より詳

しい次のような情報を聞いた。

「4月下旬に1回、核実験を準備した。100キロトンクラスのこれまでにない威力の実験で、

小型化された核弾頭の実験だ。これに成功すれば弾頭の小型化は完成する。実験の数日前に中

国に通報したところ、国境を封鎖すると脅され、金正恩の妹である金与正が、中国は金正恩

権を倒そうとしていると金正恩にアドバイスしたので実験を延期した」

5月12日にはTBSも、北朝鮮が4月20日に核実験を行うと中国に通報し、中国は実験を強

行すれば国境を封鎖すると警告したので延期された、と報じた。

金正恩氏は中国との関係悪化を覚悟の上で3日の核実験に踏み切ったのだ。9日の建国記念日

ロシアは祝電を送ったが、中国は送らなかったことは注目される。

米国は国連安全保障理事会に、石油・天然ガス輸入禁止、衣料品輸出禁止、北朝鮮派遣労働者

雇用禁止−などを柱にした厳しい追加制裁案を提出した。

多くの論者が北朝鮮へのこれまでの経済制裁は効果がなかったと主張してきた。それに対し、私

は核ミサイル開発や金一家の贅沢(ぜいたく)な暮らし、独裁権力の維持などに使われている

労働党39号室の統治資金を枯渇させれば、必ず金正恩氏は音を上げると反論してきた。

≪短期戦に出てきた金正恩氏≫

その観点からすると、制裁に効果があったのはまず第1次安倍晋三政権以来、わが国が続けてい

る「朝鮮総連に対する厳格な法執行」だ。それにより最盛期に年間18億ドル(約2千億円)

送られていた外貨が途絶えた。次に李明博朴槿恵大統領の2代にわたる韓国保守政権が段階

的に実施した支援停止である。その結果、金大中盧武鉉政権の10年間に実施された総額7

0億ドル相当の支援が消えた。

今年8月に国連安保理が科した制裁は、39号室資金を激減させる効果を持っていた。それまで

安保理制裁は39号室資金には打撃を与える水準ではなかった。8月の制裁は、(1)石炭

など鉱物性燃料(2)鉄・鉄鉱石(3)水産物−の輸出を禁止している。大韓貿易投資振興公

社によると、2016年の北朝鮮の輸出は28億ドル、輸入は37億ドルで9億ドルの貿易赤

字があった。外貨収入の源である輸出内訳をみると、(1)は12億ドル、(2)と(3)は

それぞれ2億ドルで合計16億ドル、全体の約6割を占める。これが全部無くなるのだから打

撃は大きい。

8月の制裁決定の頃、金正恩氏は「核実験とミサイル発射をどんどんやれ。米国を軍事的に徹底

的に圧迫して交渉に引き出せ」と命じたという情報がある。彼は短期戦に出てきたのだ。その

背景には39号室資金が枯渇すれば政権は長く持たないという焦りがある。

今回の制裁案に含まれている衣料品禁輸(7億ドル)が加わると合計23億ドルで、8割以上の

外貨を失う効果がある。また、海外派遣労働者による年間5億ドル以上の稼ぎも失う。だから

北朝鮮外務省は声明で「(制裁決議が採択されれば)世界はわれわれが強力な措置を連続的

にとって、いかにアメリカを罰するかをしかと目にすることになる」と脅しているのだ。

≪「持ち札」を全部切ってきた≫

このままでは外貨不足により独裁統治が揺らぐことになるだろう。そこまで追い詰められたから

こそ、北朝鮮大陸間弾道ミサイルICBM)と核実験という「持ち札」を全部切って、ト

ランプ政権との談判に持ち込もうとしてきたと私は見ている。

トランプ大統領は米国本土まで届く核ミサイルを持たせた大統領として、汚名を残すことは絶対

に避けたいはずだ。対北経済封鎖措置を徹底し、それでも金正恩氏が核ミサイルを放棄しなけ

れば、軍事行動、すなわち金正恩氏を除去する「斬首作戦」の準備を進めるはずだ。独裁者は

命が危ないと判断したときだけ譲歩する。戦争直前までいけば北朝鮮は必ず中身のある協議に

応じてくる(しかし、そこでも彼らはウソをつく)。

日本は米国と足並みをそろえて対北圧力に全力を尽くしながら、最後の交渉で拉致被害者の全員

帰国を要求しなければならない。いよいよ正念場である。われわれは9月17日に東京で拉致

被害者を救う国民大集会を開き、核問題の嵐の中でも絶対に被害者を救うのだという、固い決

意を発信する。(モラロジー研究所教授、麗澤大学客員教授西岡力 にしおかつとむ)