国家議論のテイタラクに

  ご機嫌いかがでしょうか。

 視界ゼロのみこばあちゃんです。

おはようございます。

 マーアガリンは庶民の最後の砦まで 20%高となってしまいました。

 この暑い中 選挙に行くのも大変です。

与野党の議論もなく

議員の報酬両まで議論してほしいものです。バス代の捻出まで大義でもあります。  

「野党不在の民主主義」が加速させる日本の衰退 薬師寺 克行

1955年に結党した自民党は、今日に至るまでほぼ一貫して政権政党の地位を維持し続けている。野党に転じたのは2回だけで、いずれも短期間で政権与党に復活した。この2回はいずれも自民党をしのぐ素晴らしい政党が登場したことが理由ではなかった。党幹部のスキャンダルや政策の失敗を繰り返したことが原因となった自滅だった。つまり政権党が失敗すれば、野党が交替して政権運営を担うという民主主義的システムが機能したのだ。

では今はどうか。マスコミ各社の世論調査結果を見ると、自民党支持率は4割を超し、50%を上回る調査結果もある。一方で野党各党の支持率は多くて10%前後、軒並み一桁でしかない。参院選挙が近づいてもこの数字に大きな変化はない。自民党が失敗したからといって直ちに政権交代が起きるとは思えない状況となっている。

「自社55年体制」の時代も自民党は40~50%の支持率を維持していた。これに対し野党第1党の社会党は20%以上の支持率を維持し、時には40%を超えて自民党に迫ることもあった。その社会党でさえ一度も自民党にとって代わって政権を手にすることはなかった。現在の野党の勢いはかつての社会党に遠く及んでいない。

法案はすべて成立、不祥事も響かず

こうした「自民党一強」状態はいろいろな点で民主主義を痛めている。

例えば、今年度の通常国会は政府提出の法案61本がすべて成立した。1996年以来26年ぶりのことだ。野党の一部が政府提出の予算案に賛成を投じたり、内閣不信任案提出に反対するなど、与党と見まがうような行動をとるのだから、スムーズな国会審議になってしまうのも当たり前だろう。

政策についての真剣な議論が乏しいだけではない。安倍政権時代に発覚したいわゆる「モリカケ」問題や「桜を見る会」問題は、もはやまともに取り上げられることはない。元閣僚を含む自民党議員の不祥事が国会で大きな話題になることもない。自民党は何か問題が起きれば政権を失うかもしれないという危機感などまったく持っていないようだ。政治から緊張感が完全に消えている。日本政治は野党不在の「不健全な民主主義の時代」に入っている。

野党に期待されるのは政権交代の受け皿としての存在だけではない。まず、日常的にはマスコミとともに政府や政権党という国家権力に不正や不公正、不平等などの問題がないか不断にチェックすることが期待されている。また日本が直面する主要な課題や政府が打ち出す政策を争点化し、異なる立場から議論し問題提起する責務もある。さらに政府の政策の足らざるところを指摘し補っていく役割もある。

近年、野党に対して「政府がやることに対して何でも反対したり批判する時代ではない」という主張が強まっている。もちろん「55年体制」時代に社会党がやった審議拒否だとか牛歩戦術などは今の時代には理解されないだろう。またイデオロギーや思想を前面に出して政治体制を競う時代ではないから、政府が打ち出すすべての政策を頭ごなしに拒否することにも意味はない。

いまは与野党が同じ課題について、それぞれの政策を競う時代だ。したがって野党にも政策を企画・立案する力、それを生み出す人材と実行する力、さらには国民に信頼されることが必要となる。残念ながらこうした基本的な対応を今の野党がしているとはとても思えない。

自民党は高度成長期の政治手法から抜け出せず

バブル経済崩壊後の30年余りの間に日本の政治を取り巻く環境は激変してきた。

それまでの自民党政治は、経済成長によって生み出される税収増を原資に、積極財政政策によって富の再分配を行い国民の支持を維持してきた。この過程で政治家と官僚組織と業界団体が持ちつ持たれつの関係になる「政官業のトライアングル」と呼ばれる仕組みができ、自民党政権の基盤をなすものとなった。「一億総中流」という言葉が象徴したように、自民党は1980年代までの経済成長によって民主主義の担い手とされる中間層の形成に成功し、政治の安定を実現したのだ。

そして、こうした仕組みを維持するには経済成長が不可欠だった。ところがバブル経済の崩壊後、日本経済は長期低迷期に入った。

そればかりか経済のグローバル化新自由主義的経済の拡大によって日本国内で所得格差が拡大した。1990年代以降の日本社会の激変は中間層の縮小をもたらすことになった。さらに急速な少子高齢化の進展で人口構成が激変し、社会保障制度を維持することさえ困難になりつつある。次々と難題が降りかかってきているのだ。

しかし、自民党政権がこうした変化に合わせた政策の転換を行うことはなかった。成長期と変わらぬ積極財政を維持したため、財政の収支バランスが大きく崩れ世界最大の累積債務を抱えることとなった。

こうした現象は日本だけでなく主要先進国に共通する現象だ。中間層の縮小の結果生まれたのが、目先の利益ばかりを追いかけ、極論に傾斜しがちな世論であり、政治家や政党がそうした世論に合わせた主張をするポピュリズムが台頭した。日本は欧米諸国のようなポピュリズムの傾向は強くないが、それに代わって改革よりも現状維持を求める保守的傾向がすべての世代で強まっている。

若者世代は民主党政権の失敗で野党に失望

かつて世代別の自民党支持率は、年齢が高くなるほど支持率も高くなる右肩上がりが特徴だった。若い世代は現状維持ではなく変革を求めるため野党支持が多かった。

ところが近年の自民党支持率はU字型で、若い世代と高齢者で高くなっている。高齢者が変化を嫌う傾向は昔と変わらないが、20代や30代の若い世代の自民党支持が高いのは、停滞の時代に生まれ育ち、日本が敗戦後の窮乏から経済大国に発展したという成功体験を知らないためかもしれない。さらには2009年から2012年までの民主党政権の失敗の記憶が若者の間では鮮烈なのかもしれない。

「物事を変えてもよくなるとはかぎらない」「今のままのほうが安心できる」。今はこんな国民感情と、既得権を維持し改革を避けることで政権を維持しようという自民党の対応が一致する。ゆえに自民党支持率が高止まりしているのだろう。しかし、こうした政治が生み出すものは日本の衰退の加速であることは明らかだ。

であるからこそ野党の存在が重要になってくる。

財政危機、少子高齢化、維持可能な社会保障制度の構築など、日本が直面している大きな問題に正面から向き合い解決策を作り上げる。そのためには政策だけでなく、政策決定過程のあり方などを含めた統治システムの見直しも不可欠だろう。

アメリカをはじめ多くの国では「大きな政府」の立場をとる政党と、歳出削減と財政収支のバランスを重視する「小さな政府」を掲げる政党があって、政策を競い、政権交代を繰り返している。

野党は従来路線では支持率低迷から脱せず

ところが日本では、国政選挙のたびに主要政党がこぞって減税とともにあらゆる分野への積極的な財政支出を競うが、財源についてはほとんど触れることはない。すべての政党が「大きな政府」の立場にたち、利益誘導を競演する異様な国だ。これでは実績と実行力のある自民党の優位が揺らぐわけがない。

野党には発想の転換が必要だ。支持率10%程度の政党が、従来路線で政権交代を目指しても無意味である。目先の国政選挙の獲得議席数に一喜一憂することなく、時間はかかるだろうが地道に人材を発掘し、党内議論を積み重ねて政策を磨くとともに、組織を拡大して国民の支持を広げていくしかないだろう。第一段階として、自民党一強の政治に緊張感を持たせ健全な民主主義が機能するような存在になってもらいたい。

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