なぜ日本経済は衰退しきっているのか?

  ご機嫌いかがでしょうか。

 視界ゼロのみこばあちゃんです。

おはようございます。

バックには「ぬくもりのように」が流れています。

今日の花言葉は「アヤメです。

神秘です。

今日はアヤメ科 カキツバタともいわれています。

冷ややかな空気が朝を覆っています。 暮らしは日一日と苦しくく感じますが

ぼやいていても好天することはあり得ません。

来世が良き時代にと願うばかりです。

 この経済の空洞化は早くから想像できていたのに

政府はスルーしまくりに 国民も賛成してきたのでは…

人口の減少も 賃金の構造もわかり切っていたことではないのだろうか?

日本が「1人あたり」価値を上げる為に不可欠な事 野口 悠紀雄

貿易収支の赤字基調は構造問題2021年8月以来、日本は貿易収支の赤字が続いている。20

21年11月、2022年1月には、経常収支も赤字になった。経常収支は2022年2月には黒字化

したが、今後再び赤字になる可能性がある。

こちら

今回の貿易収支赤字拡大は、原油価格の高騰という短期的な要因によるところが大きい

ただし、日本の貿易収支が長期的、構造的に悪化傾向にあることも事実だ。

赤字が継続するとの予想があれば、円安が加速される。それが輸入物価を引き上げて、

さらに赤字を拡大するという悪循環に陥る危険がある。

そうした過程を阻止する必要がある。

これは、短期的施策では対処できない、構造的問題だ。

このところ、コロナ、インフレ、ウクライナ問題、円安などに振り回される毎日だ。毎

日あまりにたくさんの大きな出来事があるので、長期的問題を忘れてしまう。

しかし、こうしたときにこそ、毎日のニュースに翻弄されるのでなく、国も企業も国民

も、長期的な問題を考える必要がある。

日本にとって最重要の長期的経済課題は、高い付加価値を産む企業を作り、それによっ

て持続的な経済成長を維持することだ。就業者1人当たりの付加価値を生産性というので

、これは「生産性の向上」と言ってもよい。

そして、そのような未来に向かって、日本の可能性を高めていくための構図を描くこと

だ。

日本は、これから先2040年頃までは、高齢化が進展する。

それに対応するために女性や高齢者の活用が大変重要な課題だ。

これができなければ、生産性はさらに低下してしまう。

ただし、そのためには、さまざまの社会的制度が整備されていなければならない。

日本の賃金は、長期にわたって停滞している。

これを放置すれば、日本の賃金が国際水準からみて低くなり、人材の獲得が難しくなる

。あるいは、日本の人材が海外に流出してしまう。そして生産性がさらに低下する。

だから、賃金が継続的に上昇する経済を作ることが必要だ。

企業の付加価値は成長があってこそ初めて実現する。

そのためには、新しいタイプの産業や企業が登場することが必要だ。これまでの産業で

は、生産性の向上には限度がある。したがって、賃金の引き上げにも限度がある。

付加価値の成長は、賃金上昇のために必要なだけではない。国全体の付加価値が成長し

なければ、道路や橋などの社会資本の維持・補修も困難になってくる。そして、これが

生産性に悪影響を与えるという悪循環が生じる。

現時点で抜本的な政策を採らない限り、日本経済は、停滞というだけでなく、衰退する

危険がある。

従来の産業構造は維持できない

1990年代以降、世界は大きく変わった。とくに、中国の工業化とIT革命が重要な変化だ

しかし、日本では、産業構造も個々の企業も、こうした変化に対応して変わったとはい

えない。基本的には、1990年代までの構造が続いている。

日本経済が長期的な停滞に陥り、賃金も上昇しない基本的な理由は、ここにある。

この状態を変え、従来の産業構造、従来のビジネスモデルから脱却する必要がある。

その基本的な方向付けは、上で述べた2つの大きな変化、つまり中国の工業化とIT革命に

いかに対応するかである。

過去20年間にわたる日本経済の長期停滞は、この2つの変化に日本が適切に対応できなか

ったために生じたからだ。

日本経済の将来に関しては、単に「新しい経済を作る」という抽象的なことでなく、具

体的な方向を示すことができる。

第1の課題は、中国工業化への対応だ。

日本では、これまで他国と分業を進めるとの発想が弱く、日本の中で、あるいは1つの企

業中で事業を完結させるという考えが強かった。

そして、賃金を固定して円安政策を取ることによって、価格で競争をする方向を選んだ

しかし、その方向づけが、現在までの停滞を生んだのだ。そして、冒頭で述べたような

貿易収支の悪化をもたらした。

だから、すべてを日本で完結させるという考えではなく、新しい世界の中で、分業関係

をどう築くかという考えに転換することが必要だ。

そのための第1の課題は、製造業においてファブレス化(工場のない製造業)を進めるこ

とだ。

これは、世界的分業の中で日本のあるべき位置を確立するということである。そして、

これに関する1つの重要な方向が、「ファブレス化」なのである。

ファブレスが製造業の生産性を飛躍的に高めることは、アップルが明確に示した。アメ

リカでは、アップルだけでなく、NVIDIAなど多くのファブレス企業が登場している。

日本はこの方向への変化が著しく遅れている。

キーエンスファブレスだが、それ以外には目立ったファブレス企業が誕生していない

ビッグデータの活用を目指せ

日本に要求される第2の課題は、1990年代以降に進展した情報化への対処だ。

しばしば、「デジタル化が必要」と言われる。

デジタル化の内容として通常言われることは、主として、インターネットへの対応であ

る。それは必要なことだ。しかし、それだけでは世界水準に追いつくだけのことであり

、決して十分ではない。

従来のタイプの製造業(ものづくり)は中所得国や発展途上国に移行し、先進国の世界

経済は、これまでのタイプの製造業から情報産業に重点を移しつつある。

だから、情報によって収益を上げられるような新しい経済活動を、日本でも発展させる

ことが必要だ。

中でも重要なのが、ビッグデータを用いた経済活動だ。

その場合のポイントは、ビッグデータをいかに収益化するかである。ビッグデータは、

これまでの情報やデータとは違う新しい性格のものだ。したがって新しい対応が必要で

ある。

だが、残念なことに、ビッグデータの活用は、アメリカの巨大ITプラットフォーム企業

によって独占されている。

そして、日本はこの面で著しく遅れている。

日本でグーグルやメタ(旧Facebook)のようなプラットフォーム企業を作ることは難し

い。

しかし、ビッグデータはほかにもある。とくに重要なものとして、マネーのデータの利

用が考えられる。

これには2つの方向がある。第1は、銀行APIの活用によって、銀行が保有する膨大な預金

データを利用することだ。

これによって、リアルタイムのデータドリブン経営が可能になる。

第2は、中央銀行デジタル通貨(CBDC)から得られるデータの利用だ。

このような大きな変革を実現するために、政府が果たすべき役割は何か?

多くの人は、政府が発展産業を育成することだと考えている。そして、政府がそうした

分野に補助を与えることだと考えている。

しかし、この考えは誤っている。

政府の役割は、補助を与えることではない。補助金漬けになった産業は必ず衰退する。

政府が行うべきは、基礎的条件の整備だ。

とりわけ、変化を阻害している条件を取り除くことだ。

さまざまな分野に参入規制があり、生産性の向上を妨げている。既得権益と戦って、こ

れらを除去することが、政府に課された最も重要な役割だ。

構造改革には痛みが伴う

上で述べたような改革を進めれば、社会構造に大きな影響を及ぼさざるをえない。

具体的な方向付けとして挙げた製造業のファブレス化とCBDCのデータ活用は、雇用の面

で、大きな社会的変化を引き起こさざるをえない。

ファブレス化を進めれば、工場で働いている人たちの職が奪われることになる。製造業

の就業人口は、減少しつつあるとはいえ、なおかつ膨大だ。そして、企業城下町として

、高度成長期以来の製造業に頼っているところも少なくない。

したがって、ファブレス化は、大きな社会的変化を伴わずには実現できない課題だ。

中央銀行デジタル通貨は、現在の金融構造に大きな影響を与える。例えば、地域銀行

淘汰という問題が起こりかねない。こうした問題をどのように克服するかが大きな課題

だ。

これまで日本では、雇用の確保が最優先の課題と考えられてきた。新しい条件に適応し

て産業構造を変えるのではなく、従来の産業構造のままで、同じ企業で同じ仕事を続け

られることが、労働者のための政策だと考えられてきた。

それを典型的に表すのが、雇用調整助成金だ。これは、休業者に対して企業が賃金を支

払った場合に、それを雇用保険基金を用いて補填する制度である。

リーマンショックで製造業が危機に陥ったときにこの制度が用いられ、鉄鋼業などの製

造業を中心として、多数の休業者に支給が行われた。その結果、失業率の上昇を抑える

ことができた。しかし、古い産業が淘汰されずに残ってしまった。

今回のコロナ禍でも、休業者に対して雇用調整助成金が給付された。しかも、特例措置

が導入され、支給額が上乗せされた。

当初は数カ月間の臨時措置として導入されたのだが、いまに至るまで継続している。

本来であれば、職業訓練プログラムを実施して他企業、他産業への移動を促進しなけれ

ばならないだろう。そうした政策は行われてはいるが、決して十分なものとは言えない

こうした制度を残せば、産業構造の転換は実現できない。

このような政策を今後も続けるべきか否かについては、基本的な検討が必要だ。

世界経済が大きく変化するときに従来の政策を続けていれば、取り残されてしまう。い

ま日本が置かれた状況は、まさにそのようなものだ。

冒頭で述べた貿易収支の赤字問題は、これまでの政策が限界にきたことを示している。

これが、いま日本に問われている基本的な問題だ。

この点に関して基本的な方向付けを変更するのは、容易なことではない。

ただし、そうした変化を行わない限り、日本社会に未来は開けないことも認識しなけれ

ばならない。

大学を補助するのでなく、学生を補助する

新しい経済活動は、高度の技術者を必要とする。だから、大学や大学院レベルの教育・

研究機関の充実が不可欠だ。

ところが、日本の工学部は、ハードウェアを中心としたものになっており、情報関係が

弱い。コンピューターサイエンスやデータサイエンスの比率を高めることが必要だ。

産業の場合と同じように、必要なのは、大学に対して経常的な補助を与えることではな

い。そうすれば、大学は補助に安住し、時代の変化に対応しなくなってしまう。

補助は大学に対して出すのでなく、奨学金の形で学生に出すべきだ。そうすれば、大学

は、社会的需要が強い分野を充実しようとするだろう。

大学の内容を社会の変化に応じて変えるためには、現在の仕組みを根本から見直す必要

がある。

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