彼岸花。
ご機嫌いかがでしょうか。
視界ゼロのみこばあちゃんです。
おはようございます。
夜明けには今少し時間がかかるでしょうか…
バックには「あなたの愛に包まれながら」が胸に迫ります。
誰が名付けたのか彼岸花…
70さいいっじょうであれば誰もがその朱色の彼岸花を美しいなどとは言わないと思う
。
ましてお墓のそばに咲くヒガンバナは
目を背けて通ったものだ。
また毒ともしても珍重がられることはなかった。
それが、園芸店に彩も新たに登場すると、今では美しい花としてその軍政に見入って
いるのである。
私たちもその見方をかええても来ているのが一番の花ともいえる。
【朝晴れエッセー】彼岸花の思い出・10月12日 (2021年10月12日)
誰が名付けたのか「地獄谷」。
名を聞いただけで身のすくんだ私が、友人に誘われてしぶしぶその谷へ向かったのは、
小学6年生の頃だった。
怖いもの見たさで意気揚々と歩く3人の少女たち。そのしんがりを務めながら、後悔し
きりの私。さりとて薄暗い竹やぶの中を1人で後戻りもできず、ついて行くしかなかっ
た。
つる草をかきわけ、ようやくたどり着いた先は、うっそうとした木々に覆われ、異様な
空気に包まれていた。
中でも私を一番怖がらせたのは、辺り一帯に群生する彼岸花だった。花の異名は幽霊花
。谷は血の色と見まがうような朱に染まり、おどろおどろしい気配に満ちていた。
下をのぞけば、地獄さながらの深い谷底。うっかり足を滑らせば「とうてい助からぬ」
と、亡者の声がするようだ。
ここは、まさしく冥界への入り口。幽霊花が不気味に咲き乱れているのが、何よりの証
拠だ。
私はひとり合点すると「もう二度と谷へは近づくまい」と心に固く誓った。他の少女た
ちもさすがに怖くなったのか、行きの元気はどこへやら。帰りは一様に黙っていた。
あれから半世紀。子供の頃は彼岸花を不吉なものと忌み嫌っていたが、大人になると感
覚は変わるらしい。
畦(あぜ)道に連なって咲く姿は、懐かしい日本の原風景。今の時季しか見られないあで
やかな朱色を、美しいと思う昨今である。