ユニクロやくしんの原動力。

  ご機嫌いかがでしょうか。 視界ゼロのみこばあちゃんです。

おはようございます。

東京に桜の開花予報が報じられ桜田よりは早くもあっちこっちに…

桜は農作業のスタートを待つかのように田お越しのエンジン音が聞かれます。

春の芽吹きがなんともうっとおしく感じる馬場ちゃんです。

生き抜くためにはお金あればこその日々でもあります。

生きればこそのお金は年々是S路に近づき息を 止めることもかなわず明日のご飯を心

配する日々でもあります。

納豆もやしも、もはや至近距離ともなりつつある。

 アパレル業界は、あおりを受けやすい分野でもあり

昭和のアパレル業界が次々に閉店を余儀なくされている現状の中

ユニクロの躍進は目を引くものがあるのも確か。

ユニクロジーユー「9%値下げ」もたらす価値 鈴木 貴博

もっとメディアで話題になってもいいと思うのがユニクロジーユー(GU)が3月12日か

ら全商品を実質的に9%値下げしたというニュースです。

このニュースを耳にする直前のことでしたが、私は春物一式をそろえるためにジーユー

に出かけました。チノパン2本(各790円)、ワッフル生地の長袖シャツ4枚(各990円)

、春らしい柄のCPOジャケット2着(各990円)、明るいピンク色の無地シャツ2枚(各990

円)と全体的にZoom会議でも明るい雰囲気に映える装いに整えようと思ったのです。

それで10着合計で9500円だったわけですが、会計で支払うと当然のように消費税がかか

るのです。950円でした。そのときふと総務省の不祥事が頭に浮かび、950円納税したこ

とについてなんかとても損をした気がしたのを覚えています。

その翌日に冒頭の値下げのニュースを耳にして、ダブルパンチのように「オーマイガー

ッ!」と叫んでしまったのですが、今回のジーユーとユニクロに関する話題はこの消費

税が関係しています。

消費税分の総額表示に対応

この4月から消費税の表記を総額表示にすることが決められていて、それまで外税表示を

してきた小売業者や外食業者は表示変更をする必要に迫られています。ユニクロジー

ユーの場合、商品表示が「990円+税」となっている部分をどう変更するかが問題だった

わけですが、これについて3月12日をもって「990円」が総額表示であると読み替えるこ

とに決めたのです。これが全商品9%値下げの正体です。

実際、私は3月12日の午前中にジーユーの店舗に出かけました。品揃えも雰囲気も当然変

わっていないのですが、手にとった商品の価格タグを見て同じ価格なのにそれが総額表

示だと思うとずいぶん割安になった気がしたものです。

実はここからが面白いのですが、発表の翌日からユニクロジーユーを運営するファー

ストリテイリングの株価が急落します。私は経済の専門家の視点でユニクロの9%値下げ

で業績があがると考えているのですが、市場参加者の多くは逆に捉えたようです。

直前の高値の11万0500円から翌週の株価は最大で17%も下落しました。その後少し持ち

直し今週の終値ファーストリテイリング株は9万4700円で取引されています。そもそも

ファーストリテイリングの株価はコロナ禍の昨年春は5万円前後でした。

それがコロナ不振にあえぐアパレル業界の中でダントツの勝ち組であることが判明して

、株価は昨年秋から急上昇し、この2月にはついに10万円を突破。時価総額10兆円企業に

到達し、2月16日にはZARAを展開するインディテックス社を抜きアパレル時価総額世界ト

ップになったのです。ちなみに株価10万円だと同社株の売買単位は100株なので、もはや

ファーストリテイリングの株式は手元に1000万円なければ投資することすらできません

それでも今回の株価急落を見て「ファーストリテイリング株をこのタイミングで買って

みたい」と私が思った理由は、今回の値下げを大変化の前の消費者への太っ腹な還元策

だと捉えたからです。

私の経験上、消費者に太っ腹で還元できる会社は成長します。イメージで言えばすしざ

んまいの初競りやPayPayの20%還元のようなやり方です。

コストコがあれだけ安いワケ

アメリカのウォルマート仕入れ先に徹底した価格値下げを要求する小売店として知ら

れていますが、創業者のサム・ウォルトンは「1セントの切り下げに成功したらその1セ

ントは顧客に返す」と明言していました。高品質の商品が安くて人気のコストコでは年

間の利益がちょうど顧客からの年会費と等しくなることが有名で、言い換えれば商品を

販売することによる利益はまるまる会員顧客に還元しています。

今回のユニクロの場合、4月からの法律改正に合わせて秋冬物の価格を「表示価格+税」

から税金分を顧客還元することに決めたのですが、大盤振る舞いである一方で、商品切

り替え時期であることを考えれば2021年春夏物への影響はそれほど大きくはないはずで

す。

通常のシーズン末の売り切り値下げと同じだと考えれば、大規模な値下げでありながら

それは営業努力で吸収できるようになる。つまり顧客も喜ぶし、ユニクロも影響は軽微

。そもそも本来必要だったタグを貼りかえるなど総額表示に向けて発生するはずだった

大規模な作業がぜんぶなくなりますから、コスト削減策として考えれば9%値下げは効果

が大きい販売キャンペーンだととることもできるわけです。

しかし、ここが面白いところなのですが、市場参加者の多くは「そうではなく今回の値

下げでユニクロの業績が悪化する未来が予測できる」と考えたわけです。それはどうい

う考え方なのでしょう。

実はこの悪い方向への予測も経営学的に考えると根拠のある話です。ひとつ象徴的な事

例を挙げます。NTTドコモが新プラン「ahamo」(アハモ)について当初発表していた月

額2980円から2700円に値下げすると発表しました。

なぜサービス提供開始前に値下げを発表したのか。その理由は2700円が税込みだと2970

円になるので、4月からの総額表記でも安さをアピールできるからだと言われています。

これが小売業から見ると宿命ともいえるプライシング上の大問題なのです。陰謀論では

ユダヤの商人が発明した」ともいわれるこの1990円や990円で区切る価格設定の手法は

行動経済学的にみると2000円や1000円で販売するよりも売れ行きがよくなることがわ

かっています。

細かい調整はうまくいかないケースが多い

そこでユニクロなのですがこれまで2000円程度の価格帯で表示していた商品は実際の販

売額は2200円。これを総額表示への変更の際にはどうするのかという問題がこれから起

きます。

商品もたくさんありますから、うまく調整して1990円と2490円の商品に振り分けるとい

うのも手ではありますが、実際はそのような細かい調整はうまくいかないケースが多い

ものです。未来予測的に指摘をしておくと、もし3年後にユニクロの売り場を覗いたら多

くの商品が1990円、2990円、3990円といったように切りのいい価格に落ち着いているは

ずです。

この場合、値上げしてもうまく価格を変更できるのは8000円や9000円の高額商品だけで

、売れ筋の商品の場合、大半の商品が値下げすることになると予想されます。人気のUT

だってこれまでの1650円から新たに1500円が基本水準になるだろうと予測されるのです

そう考えるとユニクロの商品は今後も、ほぼほぼ消費税分の10%を値下げしてコストを

何らかの形で吸収する必要が出てくると予想されます。市場関係者によればそれは品質

を下げる方向に働くことが危惧されるようで、これまで品質の高さに支えられてきたユ

ニクロのブランドイメージを棄損するリスクがある。だからファーストリテイリング

は売りだという論理になったようです。

この理屈は経済学的な論理としてわかるといえばわかります。ファーストリテイリング

の国内売り上げはユニクロジーユーをあわせて約1兆円ですからコスト削減要求は1000

億円レベルになる。これはファーストリテイリングの年間の純利益にも匹敵する金額で

、だからこそこのリスクをファーストリテイリングが乗り越えられるかどうかは、いっ

たん悲観的に見たほうがいいというのが株式市場の見方なのだと思います。

ではなぜ経済の専門家である私が「でもいまファーストリテイリングの株を買ってみよ

う」と思うのかというと、まさにこのユニクロ商品の品質が下がることを期待している

からです。

ユニクロジーユーの製品の違い

実はかつてユニクロの熱狂的なファンだった私は、ここ数年は主にジーユーで普段着を

そろえています。

今さらですがユニクロジーユーの違いを説明しますと、ユニクロは全世代をターゲッ

トにしているのに対して、ジーユーはターゲットを完全に若者に絞っています。

そうすると商品がどう違ってくるのかというとまずシルエットが若い。これはおじさん

にとっては痛いのですがそのような特徴がまずひとつ。そしてもうひとつはそのために

コストを絞っています。同じような商品でもジーユーの場合、素材に化繊が多かったり

、ステッチなどの加工が省略してあったり。そしてワンシーズン着るとそれなりによれ

てきて「来年は着られないな」という感じになってしまいます。

実はここが私にとってはとても大切で、服を断捨離する理由ができます。逆に言うと過

去10年間購入してきたユニクロの服は、いまだに現役で私の自宅の洋服棚を占拠してい

て、もうこれ以上は増やすことができない状況にあります。

そして投資家の視点でいえばこれがユニクロ事業の最大リスクであり、高品質であるが

ゆえにユニクロの服は長持ちして買い替えることが難しいのです。

これまで日本のアパレル産業は、洋服を意図的に陳腐化させることで消費者に買い替え

を促してきました。業界全体で今年の流行色を決め、微妙なディテールで過去の商品を

恥ずかしいものに変えてしまう。だから毎年、消費者は今年の服を買うようになる。

ところがユニクロは普遍的で定番のカジュアルウェアを販売するようにこの業界常識を

変えていくことで成長しました。そのようにして業界トップに立った今、気づくともは

や洋服の買い替えが必要ない世界に到達してしまっていたと投資家の立場では感じられ

ているのです。

まだユニクロが成長できる余地とは?

別にユニクロの服を劣化させよと言っているわけではありません。理想を言えば、素晴

らしいデザインで、上質な素材を使ってほしい。そのうえで仕立て部分のコストや手間

を削減すればワンシーズンだけもつ素晴らしい服が提供できるのではないかと言ってい

るのです。

現実のユニクロは逆で、ジル・サンダーなど素晴らしい才能とコラボした製品をきちん

とした仕立てで提供する。でも素材がいまいちというのがこれまでの市場の評価です。

ここが変われればユニクロはまだ大きく成長できると投資家は期待しています。

つまりとても逆説的で長い長い話になってしまったのですが、結論を言えば、今回の消

費税の表記が総額表示に代わり、そこでユニクロが値下げの決断をしたことは、私は巡

り巡って長期的にはファーストリテイリング企業価値を上げるチャンスになると捉え

ているということです。あくまで私は市場関係者から見れば少数派のようではあります

が。

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