黒田総裁出口戦略綱渡りか??

     ご機嫌いかがでしょうか。

 視界ゼロのみこばあちゃんです。

 黒田総裁の再任のスタートには、苦難坂しかない!

 金融緩和の副作用も問われる中どのような出口戦略を描いているのだろうか?

 日銀の国債の買い入れ額は相当額になっているはず!

ここにきて総裁の強気発言にも、トーンダウンまで

聞かれるようにもなった。

5 黒田日銀総裁、出口戦略「十分な手段持っている」 市場の不安払拭が ...

2017/05/16 - 日銀の黒田東彦総裁は16日、東京都内の会合で、大規模な金融緩和を終わ

らせる「出口戦略」について、「日銀は十分な手段を持っている」と強調した。市場で

は出口の局面で金利が急騰し、「当座預金」と呼ぶ日銀の口座にお金を預けている銀行

への利払いが膨らんで日銀の財務悪化などの副作用を指摘する発言が相次いでいる。黒

田総裁の発言はこうした不安を払拭する狙いとみられる。 「短期金利のコントロール

中央銀行のバランスシート(貸借対照表)をどうマネジメントするか。どの順番で対処

...

やや様変わりとなってきたようにも思われた。それを示すものとして、「量的・質的金

融緩和」の成果に加え、副作用についても言及していた点である。

「最適なイールドカーブの把握」との部分では下記の説明があった。

金利の年限によって金利低下の効果が異なることも、最適なイールドカーブを考える

うえで考慮すべき一つのポイントです。経済や物価への影響という点では、一般的に、

短期から中期の金利低下による効果が大きいと考えられます。企業や家計の資金調達に

占めるこのゾーンのウエイトが大きいためです。」

だからこそ、2013年4月の量的・質的緩和政策の導入まで、日銀による国債の買入は超短

期ゾーンが主体であったはずである。また、短い国債の買入により、償還がすぐ来るこ

とで全体の規模の調整が比較的しやすいメリットがある。つまり出口政策を容易比にさ

せる。2006年の3月の量的緩和策の解除にも、当座預金残高の削減はかなり短期間で可能

とされていた。

「一方、より長めの金利については、保険や年金といった金融の社会インフラの機能と

強い関連があると考えられます。このため、長期・超長期金利の過度な低下は、これら

の運用利回りに対する不安感などを惹起し、マインド面を通じて経済に影響を及ぼす可

能性に留意する必要があります。」

この点をあらためて総裁が指摘した意味は大きい。そのために導入したのが2016年9月の

長短金利操作付き量的・質的金融緩和による、イールドカーブコントロール「YCC」であ

った。このYCCの目的はイールドカーブをスティープ化させることであった。それによっ

てある程度「運用利回りに対する不安感」などを後退させることができる。

「このほか、金融仲介機能への影響という点では、最近、「リバーサル・レート」の議

論が注目を集めています。これは、金利を下げすぎると、預貸金利鞘の縮小を通じて銀

行部門の自己資本制約がタイト化し、金融仲介機能が阻害されるため、かえって金融緩

和の効果が反転(reverse)する可能性があるという考え方です。」

リバーサル・レートとは米プリンストン大学のブルネルマイアー教授が考案した概念で

金利がある一定水準を下回ると、かえって貸し出しなど金融仲介機能に悪影響を与え

るとの議論である(ロイターの記事より引用)。リバーサル・レートを引き合いに出し

て黒田総裁は、金利を下げすぎることによる副作用について、あらためて言及している

。これなども今回の総裁発言のなかではあまり過去にはみられないものであった。

今後、日銀がマイナス金利政策や長い期間の国債の大量買入を主体としている現在の大

規模緩和策から調整を図ってくると期待したいところではあるが、市場への影響等を考

慮するとそう簡単に修正できるものではない。しかし、それでも結果としてステルステ

ーパリングを行うなど、これまでのかなり緩和に対する前傾守勢を修正しつつあること

も確かなのかもしれない。また、これは追加緩和を主張している向きに対する牽制との

見方もある。

     読売より。

黒田総裁再任 日銀緩和の行方をどう描くか (2018年04月10日)

 異次元緩和には副作用も出始めている。景気拡大を続けつつ、長期間の量的緩和政策

などを軟着陸にどう導くか。新たな5年の任期は一段と重い課題に取り組むことになる

 日銀の黒田東彦総裁が再任された。新任の雨宮正佳、若田部昌澄の両副総裁との新体

制だ。

 黒田氏は2013年3月の就任後、2年でのデフレ脱却を掲げ、「黒田バズーカ」の

異名を取る大胆な金融緩和策を繰り出した。市場の予想を超える規模で、量的緩和政策

を強力に進めた。

 緩和マネーは円安・株高をもたらし、企業業績を押し上げた。日銀への期待値が高ま

るにつれ、追加緩和を見送ると市場に落胆が広がるようにもなった。

 16年秋には緩和策の軸足を「量」から「金利」に移し、市場との対話を重視する手

法に転換した。

 今後は、マイナス金利政策の修正などが課題となる。黒田氏には経済情勢や市場動向

の見極めに一層の磨きをかけてもらいたい。

 日銀が目標とする物価上昇率2%はいまだ実現していない。

 黒田氏は再任記者会見で「物価目標の実現までには、なお距離がある」と述べ、緩和

政策を堅持する考えを強調した。

 黒田氏が物価目標の原則論に終始するのは、市場で政策変更の観測が広がれば金利

騰などを招きかねないとの警戒感もあろう。

 現時点では、黒田氏の政策の方向性は理解できる。

 気がかりなのは、長期にわたる大規模緩和の弊害である。

 銀行の貸出金利が低迷し、収益が圧迫されている。新規融資が滞り、金融緩和の効果

をむしろ減じていると指摘される。

 株式市場では、日銀の上場投資信託ETF)購入が株価をゆがめているとの見方が

ある。国債発行残高に占める日銀保有が4割に達し、市場が硬直化している。

 日銀は2%目標に固執するばかりでなく、中期的には柔軟に見直す姿勢も必要なので

はないか。

 物価が目標水準に未達でも緩和の出口戦略に乗り出している米欧当局の政策は参考に

なる。

 世界経済を見渡すと、米中の貿易摩擦が新たなリスク要因として浮上している。

 市場では、景気が失速した際に金融緩和策を打つ余地を持つために、早めに金利引き

上げに着手すべきだという意見がある。

 日銀は、今は時期尚早だとしても、景気拡大が長期化する中で、金融正常化のタイミ

ングをどう計るかについても検討が要る。

2018年04月11日 06時01分Copyright c The Yomiuri Shimbun