かわいそうな、ぞうのお話。

   ご機嫌いかがでしょうか。

 視界ゼロのみこばあちゃんです。

おはようございます。

観客も少ない中、猛獣たちの暮らしはそれだけでも大変

 コロナ災いから動物園の観客は減り、赤字経営の動物園では

生かすための手段としてのネットによるクラウンドファンディングによる

資金集めが報道され心が痛む。

かつて戦時中多くの動物たちが兵糧攻めで死んでいった多くの動物たちにおいて

なんといっても思い出すのが猛獣たちの命の果て…

中でも「かわいそうな増産」のお話は絵本であり教科書にも載りあまりにも有名作品と

してのちの世にまで伝えられてもいます。

戦争の理不尽さと悲しみが心に残る、動物園で本当にあった悲しい象のお話。

文 つちや ゆきお

絵 たけべ もといちろう

出版社 金の星社

出版日 1970.08

ページ数 32ページ

対象年齢 4歳 / 5歳 / 6歳 / 7歳以上 / 大人

季節 すべて

この絵本の内容紹介(あらすじ)

上野の動物園は花盛り。お花見で人が押し寄せ、動物園は混み合っています。

象の檻の前の広場では、二頭の象が芸当を披露しています。長い鼻を天に向けて日の丸

を振ったり、よたよたと丸太渡りをすると、大勢の見物人は大喜びです。

その広場から少し離れたところに、一つの墓がありました。賑やかな広場とは打って変

わって、ひっそりと佇んでいます。

その墓には動物園で死んだ動物達が祀られていますが、ほとんどの人はその墓の存在に

気づきません。

ところがある日、一人の男性がしみじみとその墓を撫でていました。そして、その墓に

眠る悲しい象の物語を聞かせてくれたのです。

今、動物園には三頭の象がいますが、一昔前にも同じように三頭の象がいました。

その頃、日本はアメリカと戦争中。その戦争が激しくなると、毎日、東京には爆弾が雨

のように振り落とされました。

もし、爆弾が動物園に落ちたら大変なことになります。檻が壊れると、猛獣達が外で暴

れ出してしまうのです。

そこで、ライオンやトラやヒョウやクマなど、動物園の動物達に毒を飲ませて殺してし

まいました。

三頭の像も例外ではありません。いよいよ殺される順番が回ってきました。

まず最初に順番が回ってきたのは、暴れん坊で言うことを聞かないジョン。

ジョンはジャガイモが大好きなので、普通のジャガイモに毒入りのジャガイモを混ぜた

餌が与えられました。

ところが、利口なジョンは毒入りのジャガイモを嗅ぎ分けて、普通のジャガイモだけを

口にします。

そこで今度は、仕方なく毒薬を体へ注射することとなるのですが、象の体は皮が厚くて

注射針が刺さりません。馬に使う大きくて太い注射を使いますが、象に使おうとすると

針が折れてしまいます。

最後は、食べ物を一つも与えずにいると、17日目にジョンは死ぬのでした。

そして次は、トンキーとワンリーの順番。この二頭の象は、いつも可愛い目をしている

優しい象です。

動物園の人たちは、なんとかこの二頭の象だけでも助けたいと考え、仙台の動物園に送

ることを決めました。

ところが、仙台で爆弾が落とされれば、東京と同じように大変なこととなります。一度

は仙台に送ることを決めましたが、最終的には上野の動物園で殺さざるを得なくなった

のです。

トンキーとワンリーも餌を与えられない日が続くうちに、段々と痩せ細っていきました

。見回りの人を見かけるたびに、「えさを ください。」というような目を向けるのです

飼育員は自分の子どものように象達を可愛がってきたので、張り裂けそうな想いで檻の

前を行ったり来たり。そうしていると、トンキーとワンキーがひょろひょろと力ない足

で立ち上がり、飼育員の前に進み出ました。

そして、お互いにぐったりとした体を背中でもたれ合いながら、突然と芸当を始めたの

です。芸当をすれば以前のように餌が貰える、そう思っての行動だったのです。

そんなトンキーやワンキーの姿を見ているうちに、飼育員の我慢もとうとう限界。餌の

ある部屋に飛び込むと、二頭の象のもとに餌と水を運び始めました。

その後、二頭の象はどうなったのでしょうか・・・。

一日でも長く生き長らえれば・・・、戦争が一日でも早く終われば・・・、そうすれば

二頭の象は助かるかもしれません。

ところが、これは悲しいお話。象の空腹が満たされることはなく、飼育員の葛藤が報わ

れることはありませんでした。