中国に帰る、神戸のパンダ、たんたん「」

 ご機嫌いかがでしょうか。

 視界ゼロのみこばあちゃんです。

おはようございます。

日本において、ペットのわんちゃんから初めて、コロナ発見。

 あの愛くるしいパンダの姿は、今や遠きかなたのまぶたの中の風景でしかありません

 神戸の大震災の悲しみの子供たちへのプレゼントとして

1995年に起こった阪神・淡路大震災で傷付いた子供たちを励まそうと、2000年7月に中国

四川省から神戸市立王子動物園へやってきたタンタン(メス・現在24歳)。

  パンダゆえ 人の心を いやすさま

来園当初のタンタンは体長120cm、体重約82kg。今より少し小柄で、どことなく幼い雰囲

気が漂う

タンタンは今から20年前に、オスのジャイアントパンダ「コウコウ(興興)」と一緒に来

日した。2頭のジャイアントパンダの登場で、動物園の来園者数は急増。当時、タンタン

とコウコウの名前を公募したところ、なんと4634通もの応募があったそう。

おちゃめで元気だったという、オスのジャイアントパンダ「コウコウ」

また、パンダが描かれたラッピングバスやマンホール、「神戸パンダ音頭」という踊り

までもが登場し、タンタンとコウコウはあっという間に動物園のアイドルに。復興の途

中にあった神戸だが、タンタンとコウコウが町の復興の一助となったと言っても過言で

はないかもしれない。

タンタンとコウコウを歓迎するように、2頭をデザインしたパンダバスが町を走っていた

王子公園周辺やJR三ノ宮などには、パンダマンホールも登場した

頭がいいタンタン、意外とマイペースな一面も!

いつも笹や竹をむしゃむしゃと頬張る姿がかわいいタンタン。実は、ジャイアントパン

ダは1日の内の約7?8時間を食事に費やすと言われている。そのためタンタンを飼育する

うえでも、担当者たちは特に食事に関して試行錯誤を重ねたそう。

「来園当初は中国にならって竹団子(トウモロコシ粉などを団子状にした栄養補助食)を

作って与えていましたが、タンタンがお腹を壊すこともあり、竹を中心とした餌に切り

替えました」と谷口さん。タンタン好みの竹を探 すという苦労もあったとか。

両手いっぱいに竹の葉を持ち、至福の時間をゆったりと楽しむタンタン

ほかにも試行錯誤したというのが、中国から取り入れたという無麻酔下で健康状態を把

握するトレーニング「ハズバンダリートレーニング」。リンゴをごほうびとして、竹の

棒の先を鼻でタッチすることから始めたところ、頭のいいタンタンは覚えが早く、今で

は体温測定や聴診、採血など少しずつできることが増えたそう。「最近では、口腔内検

査や血圧測定、エコー検査などの高度な診察にも取り組んでいます」と谷口さん。

病気の早期発見と予防のために毎日行う、ハズバンダリートレーニング。タンタンは飲

み込みが早い!

2人にタンタンと過ごした日々の思い出についても聞いてみた。

「朝、出勤したら、寝室で檻越しに挨拶するのが好きです。タンタンが寝ている時は物

音を立てないようにそっと近づくんですが、途中で気付かれて起きてこちらに寄ってき

てくれるんです。鼻を檻にベターッとくっつけて、おねだりしてきて。好物のリンゴや

ニンジンをあげると満足そうにするのがかわいいですね」と吉田さん。

檻に鼻を押しつけて、うるうる瞳で見つめてくるタンタン

谷口さんは、タンタンの寝顔もかわいいと話す。

「タンタンは手足が短いので、背もたれなしで座るのが苦手で。寝ている時には前足で

鼻を隠すことがあるんですが、その姿もかわいらしいんです」

タンタンのチャームポイント、ちょっこり手足。短い手で鼻を隠すクセがたまらなくか

わいい

寝そべってペロッと舌を出すタンタン。ふとした瞬間でもキュートな顔を見せてくれる

ンタンタンの愛らしい寝顔を見ているだけで癒されてしまう

また、食の好みがはっきりしているのか、せっかく用意された竹でも気にいらなければ

見向きもしないというグルメな側面も。ほかにも、イベントで手の込んだ餌を用意され

ても来園者に背中を向けて食べるなど、マイペースなところもあるそう。そのような憎

めない一面も愛されている理由なのかもしれない。

こやかに竹を満喫するタンタン。満足げな表情もたまらない

手足を上手に使ってタケノコを頬張る姿も、ずっと見ていたくなるほどの愛らしさ

タンタン、涙の悲劇

いつも愛くるしい姿を見せてくれるタンタンだが、実は人知れず辛い過去もあった。そ

れは一緒に来日したコウコウが、2002年に繁殖能力の低さから中国へ帰国したことから

始まる。

優しくておっとりとした2代目コウコウ。後ろには小さくタンタンの姿も

初代コウコウが中国へ帰った同年12月に、2代目コウコウが来日した。当初、タンタンと

コウコウは交尾による繁殖を目指していたが、コウコウが寄り添おうとすると、タンタ

ンは「ワン!」と吠えて拒絶。そのため自然交配が難しいと判断され、人工受精を行う

ことに。

その結果、2007・2008年の2回妊娠に成功したが、1度目は残念ながら死産という結果に

。2度目はタンタンの頑張りもあり無事に出産できたのだが、なんと生後わずか4日で赤

ちゃんは亡くなってしまった。「子を亡くしてからも、しばらく子供を探すような素振

りがありましたね」と吉田さん。タンタンのショックも大きかったはずだ。

死んだ赤ちゃんの代わりにニンジンを抱っこ

赤ちゃんの死後、タンタンはニンジンを抱っこするようになった。しばらく抱いて、食

べずにペロペロとなめているので、ニンジンは生温かくなる。「ニンジンを赤ちゃんだ

と思っているのだろう。この子からしたら、死んだなんて理解できんから」(梅元さん

)。ニンジンだけでなく、外に出て小石を抱くこともある。筆者が今年9月15日に見たと

きは、細くて短い竹を抱きしめていた。

こうした育児用の行動、つまり偽育児をするパンダは珍しい。

タンタンと並んで、動物園の人気者だったほのぼのコウコウ

そして、タンタンにさらなる悲劇が。なんと、2010年にコウコウが亡くなってしまうの

だ。タンタンに発情の予兆があったことで、コウコウを麻酔し精子の採取を試みたとこ

ろ、麻酔からの覚醒中に心肺停止状態に。そのままコウコウはこの世を去ってしまった

神戸の町に広がる「#ありがとうタンタン」

妊娠、流産、出産、赤ちゃんやパートナーの死など、タンタンは辛い時期を乗り越え、

今もなお動物園のアイドルとして来園者を喜ばせ続けてくれている。

そんなタンタンが、中国へ返還されるといニュースを受けて園内では特別企画展「あり

がとうタンタン」を開催。タンタンの歴史を写真や貴重な資料で振り返るほか、多くの

来園者がタンタンへの感謝を寄せ書きにつづっている。

タンタンへのメッセージを残したいという来園者は、筆記用具の用意をお

忘れなく

タンンタンが神戸に来日した時に使われた輸送用檻も当時のまま

懐かしい写真や資料などでタンタンの歴史を振り返るコーナーも

ほかにも、三宮駅にある神戸花時計にはタンタンの姿が描かれていたり、大丸神戸店に

はタンタンのバナーが飾られている。また、タンタンとコウコウが神戸にやってきた当

時のように、町にはラッピングバスが走っている。

大丸神戸店にも「#ありがとうタンタン」のたれ幕やバナーが

感謝の気持ちを込めて、灘区のコミュニティーバス「坂バス」がタンタン仕様に

タンタンの中国返還について、吉田さんの心境を聞いてみた。

   中国に帰る「神戸のパンダ」25年の劇的な半生 中川 美帆

https://toyokeizai.net/articles/-/376269