シリア戦地より、ツイートし続ける少女の生々しい証言。

     ご機嫌いかがでしょうか。

 視界ゼロのみこばあちゃんです。

 シリアにおいては長期にわたり内戦が続き

 武器も平気も持たない一般民が虫けらのようになくなる状況を

スマホを頼りに、戦争の生々しい状況を、少女目線、その感覚でリアルタイムに

その危機的状況を発信し続けている。

 日本も唯一被爆国です

多くの命、多くの被爆者を産んでいます。

二度と戦争などあってはなりません。

弱い声も訴え続けることでどこかに留め置くことでしょう。「私たちを今すぐ助けてください」

とツイートは世界中を駆け巡っています。

     山系より。

【書評】シリアの少女のつぶやきに世界は衝撃を受けた 『バナの戦争』バナ・アベド著、金井

真弓訳

□『バナの戦争 ツイートで世界を変えた7歳少女の物語』

シリアの大都市アレッポに暮らしていた7歳の少女・バナは、降り注ぐ爆弾の恐怖におびえなが

ら必死でスマートフォンを操作し、英語で全世界に向けて発信した。

〈お願いです、今すぐわたしたちを助けて〉

2011年から現在も続くシリア内戦は、私たち日本人にとって、正直なところあまりにも遠い

出来事だ。けれども16年、激しい戦闘地域の内側からバナのツイートがリアルタイムで届き

始めたとき、世界中が衝撃を受けた。彼女は自分で見たこと、感じたことを書いた。食べ物も

水も、薬もないこと。人がハエのように死んでいくこと。

〈わたしたち、死にかけているの〉

バナのメッセージは単純で、だからこそ力強い。その影響力の大きさから政府側に危険人物と見

なされ、身の危険を感じた母親はバナに男の子の服を着せた。同じ年の12月、バナ一家はア

レッポを脱出し、トルコへ避難した。そこでバナはこの本を書いた。

圧倒的な兵力の前で武器を持たない普通の人々、とくに女性や子供が犠牲となる。大国の思惑、

武装テロ組織も入り乱れる内戦の複雑な状況のなかで、少女がどれほど人の心をとらえるメッ

セージを発しても、それで戦争が終わることは決してない。だが−。

バナの母・ファティマは本書に収録された手記で、バナにこう語りかける。

〈あなたは黙ってはだめ。あなたに声をあげさせないことこそ、彼らの望みなのだから〉

バナたちは今もトルコにいて、戦争をやめてほしいと訴え続けている。どんなに無力に思えても

、届くと信じて声を上げ続けることが、バナの「戦争」だ。

家や友人、祖国さえ失っても、人はその絶望を乗り越えて生きていかなければならない。戦闘地

のただ中で、ツイートに対して世界中から寄せられる返信に、どれほど勇気づけられたかをバ

ナは書いている。遠い場所にいる私たちがまずできることは、そうしたごく普通の少女の声に

向き合い、聞き取ろうとすることなのだ。(飛鳥新社・1500円+税)

評・瀬戸内みなみ(ノンフィクションライター)

  シリアにおける戦争状況の引用です。

「6年以上にわたって続くシリアの内戦。

その構図は、複雑化しています。

ロシアが支援するアサド政権と、アメリカなどが支援する反政府勢力。

それに過激派組織IS=イスラミックステートなどが入り乱れて戦闘を続けています。

アメリカは、ISに対して空爆を行う一方、アサド政権への攻撃は行ってきませんでした。

しかし先月7日、アサド政権が化学兵器を使用したことに対する対抗措置だとして、初めて攻

撃に踏み切りました。

トランプ大統領は、シリアのアサド大統領を『殺りく者だ』と強く非難した上で、攻撃について

、『正しいことをした、何の疑いもない』と述べています。

ところが、あの攻撃から1か月余りたっても、トランプ政権は目立った動きを見せていません

。」

増井

「アメリカの積極的な関与を期待した人々の間では、失望感が広がっています。」

米国の空爆から1か月 シリアは今

リポート:森健一記者(カイロ支局)

シリアの隣国ヨルダン。

65万人を超える難民が暮らしています。

シリアから逃れてきた、元運転手のワエル・アブトゥルキさんです。

シリアで受けた砲撃で手にけがをして働くことができず、貯金を切り崩して暮らしています。

トランプ政権のミサイル攻撃を知り、これで戦況が変わると興奮したといいます。

シリア難民 ワエル・アブトゥルキさん

トランプ大統領は、すぐに空港を攻撃し無力化した。

(お祝いに)お菓子を配りました。」

ワエルさんがシリアを離れたのは4年前。

故郷の町で化学兵器による攻撃に遭遇。

仲間とともに救助にあたりました。

シリア難民 ワエル・アブトゥルキさん

「友人17人を失い、一緒に救護していた医師2人も亡くなりました。

一晩中シャワーを浴びても目が腫れ上がったままで、その後、3週間、目が赤いままでした。」

当時、アメリカのオバマ政権は、アサド政権に対し化学兵器の使用を強くけん制しながらも軍事

攻撃には踏み切りませんでした。

これに対し、トランプ大統領は…。

アメリカ トランプ大統領

「野蛮な攻撃によって、かわいい赤ちゃんさえ残酷に殺された。」

化学兵器使用の報告を受けてから、わずか2日で軍事作戦を承認。

ミサイル攻撃に踏み切りました。

しかしその後、トランプ政権は目立った動きを見せていません。

その間、アサド政権は逆に空爆や砲撃を強化。

市民が巻き込まれる戦闘が続いています。

故郷に戻れる日が来るかもしれない…。

そう期待したワエルさんは今、焦りを募らせています。

シリア難民 ワエル・アブトゥルキさん

トランプ大統領がアサドを引きずり下ろすことを願う。

もっと攻撃してほしい。

一度の攻撃では警告にしかならない。」

さらに、アメリカなどの支援を受けてきた反政府勢力も大きな失望を感じています。

自由シリア軍の幹部、イサム・レイス氏。

レイス氏は、アメリカが空軍施設を空爆したあと、即座に歓迎のメッセージを出しました。

自由シリア軍 幹部 イサム・レイス氏

“今回の行動は強力で、勇敢であった。”

アサド政権への圧力をさらに強めるよう、アメリカに促す狙いがあったと言います。

自由シリア軍 幹部 イサム・レイス氏

「もっと攻撃してほしい、それが我々のメッセージだ。」

自由シリア軍は今、アメリカが最優先に掲げる過激派組織IS壊滅のため、シリア東部に向けて

、部隊を展開する準備を進めています。

しかしレイス氏は、アメリカの動きが読めない以上、その軍事力を計算に入れることはできない

と考えています。

自由シリア軍 幹部 イサム・レイス氏

「アメリカの姿勢は、トランプ政権でも不透明だ。

いまだにシリアで何をしたいのかが見えない。

現実的な意味で、何も見えない。」

最新状況は

増井

「取材にあたっているカイロ支局の森記者に聞きます。

シリアの、特に反アサド政権の人々の間で、アメリカへの失望が広がっているようですね。」

森健一記者(カイロ支局)

「トランプ政権は前政権とは違って即座に動いた、これが際立って、『何かやってくれるかも

しれない』と期待した分、肩透かしをくらったという受け止めなのだと思います。

シリアの内戦の解決には、ロシアやトルコといった各国が互いに利害を調整していくことが欠

かせません。

しかし、アメリカはその先のビジョンを描くことなく攻撃に踏み切ったと、ここ中東にいる専

門家は指摘しています。」

クドゥス政治研究所 オライブ・レンタウィ氏

「(攻撃後の)次のステップは何なのでしょうか?

今後、シリアで何が起きうるか?

アメリカが明確な展望を持ち、軍事作戦や外交方針とどう結びつけるか理解しているとは思え

ません。」

内戦の見通しは

花澤

「アメリカによる攻撃のあと、シリア内戦の状況はどうなっていますか?」

森記者

「戦闘は悪化したとさえ言える状況のようです。

空軍施設に攻撃を受けても、アサド政権の軍事力が大きく削がれることはありませんでした。

むしろアメリカの攻撃のあとアサド政権は反政府勢力に対して、より強硬な姿勢を強めた。

これに対し、反政府勢力側も応戦しています。

先週、アサド政権と反政府勢力の双方に武器の使用を認めない『安全地帯』というエリアがロ

シア・トルコ・イランの3か国のもとで設けられましたが、そこでも戦闘は止んでいません。

停戦と停戦違反が繰り返されて互いに非難し合う、もはやお決まりのパターンに陥っています

。」

米国の空爆から1か月 シリアは今

増井

「トランプ政権はあの空爆をきっかけに、もっとシリアの問題に関与していくのかと思いまし

たが、そういうことでもなかったということなんでしょうか?」

花澤

「それはやはり、IS壊滅が最優先で、それをしないとはじまらないという状況です。

アサド政権を倒してしまっては、その後のシリアはどう安定させるのか、誰が統治していくのか

、その道筋を失ってしまいます。

また、隣国はアメリカと特別な関係にあるイスラエルで、仮にアサド政権が倒れてシリアで権

力が空白になった場合、過激派勢力が拡大する可能性がある。

そうすると、それがイスラエルにとって脅威になるということで、そうした事態を避けたいと

いうのがトランプ政権の考えです。

加えてアメリカの国内世論を考えると、先日のミサイル攻撃、あそこまでは支持したんですが

、それ以上の関与、内戦に巻き込まれていくことには強いアレルギーがあります。

ですから、地上部隊を送るということはできません。

いわば、その代わりとなってISとの地上戦の主力となっているのがクルド人部隊で、アメリ

カはこれに対する支援を強化しようとしています。」

増井

「アメリカは、IS壊滅の先の展望はあるのでしょうか?」

花澤

「アメリカ政府は対IS作戦の現状について今現在は『順調』としていて、IS壊滅後に残る

勢力=アサド政権とクルド勢力、反政府勢力等をどう和平に持ち込むか、それについての協議

はあとにしましょうという考えなんです。

アサド政権については、『政権の組織は残しながらアサド一家だけは排除する』という線でロ

シアと交渉していくことになると思います。

ロシア側もこれを完全には否定していません。

ラブロフ外相は10日に4年ぶりにワシントンを訪問しました。

オバマ政権の後半はずっと関係が冷え込んでいましたから、行っていなかったんですね。

ロシアとトランプ政権の関係はオバマ政権時代ほど悪くないということになります。

IS壊滅を進めながら行われる、アサド政権の扱いを巡る米ロの交渉。

それがシリアの内戦終結の最大のカギを握っています。」

特集ダイジェスト