置いてきぼりの財政赤字。

     ご機嫌いかがでしょうか。

 視界ゼロのみこばあちゃんです。

 1000兆円を超える財政赤字

これにいつまで放置が許されるのでしょうか。

 皆がこの赤字に群がりむさぼる傾向は累々ととどまるところがない。

長期政権である安倍内閣

これも我が保身のために財政赤字には後ろ向きです。

長期政権であるからこそ着手してほしい赤字問題。

教育無償かよりも果たさなければならない赤字問題。

 作家の真山仁が「オペレーションz」において書き下ろしている。

未来は明るいか、というテーマが、いつも私にはあります。未来をよくするために、今の大人は

生きている。そうでなければ生きる資格はない。社会的動物の使命は、未来に種を遺すことで

すよね。目の前のことしか考えず、未来を食いつぶしている私たちは、種のルールを自分たち

の欲望でつぶしていると言える。でも、先程の家計のたとえを財務省の偉い人にすると、その

発想は面白い、財務省ではそんなことは考えたことがないと言われてしまう。彼らは、毎年少

しずつ賢く赤字を減らしていって、いずれうまくプライマリーバランスがトントンになれば、

それでいいと考えているんです。

――しかし、プライマリーバランスが均衡したとしても、積み上がった借金は減りません。

 彼ら重鎮クラスの発想は、そこまでなんですね。でも、若手の課長補佐クラスにとっては、未

来はもっと深刻な問題かもしれないから、若手と議論してみてはどうかと言われて、勉強会の

ようなものを始めました。これが『オペレーションZ』の本当のスタートです。

明日にも起こる危機、国家破綻

――借金を積み上げた国に明日にも起こりうる危機として、鳥肌が立つように描かれるのが、国

家破綻=デフォルトです。

 国債の償還ができなくなる状態がデフォルト。いわば自己破産です。近年ではギリシャが記憶

に新しいでしょう。ほかにも、チリ、ブラジル、アルゼンチン、メキシコ、旧ソ連など。これ

だけ国債を発行し、その一部は外国が保有している現状で、日本がデフォルトしないとは言い

切れません。問題は、その危機の深刻さを誰も、どのメディアも伝えてこなかったことです。

――ギリシャの場合は、失業者が増えたり、公共サービスが止まったり、銀行から引き出せる金

額が厳しく制限されたりといった状況が、当時ニュースで伝えられました。

 デフォルトの本質は、お金の動きが止まることなので、甚大な災害なのに、すぐには目に見え

てこないんです。国債が償還できなくなり、国家破綻すると、貿易ができなくなります。円建

ての支払いができず、クレジット払いもできなくなるので、エネルギーや資源、原材料の輸入

がストップしてしまう。超円安になって、1ドル三百円とか五百円になる。そうして進むのがハ

イパーインフレです。電気代、ガソリン代が跳ね上がり、食料品も品薄になって高騰します。米

や野菜は作れても、家畜の飼料は輸入ですから、これも立ち行かなくなる。やがては、ゴミの

収集を初め、警察や消防、救急も麻痺して行くでしょう。社会の安全ネットが崩壊してしまう

のです。

――国家破綻に近似したケースとして、財政再生団体となった夕張にも取材に行かれたとか。

 夕張の街は寂れてはいましたが、市民はみな堂々としてるんです。病院や学校が合併されても

、何の弊害もないというんですね。消防車が一台か二台しかないのが唯一の心配だそうで。そ

れどころか、自分たちは自治体破綻の先進地だと胸を張っている。いずれ地方の市町村はどこ

もこうなっていくんだからと。もちろん、日本がデフォルトしたら、これでは済まない。デフ

ォルトの危機をどうしたら伝えられるかは、今回の小説で一番苦心して悩んだところです。

――デフォルトを回避するためとはいえ、歳出を半減したら、生活に大きな影響がでます。

 財務省若手との勉強会を始めてすぐに愕然とさせられたのですが、百兆円の歳出を半減するの

は、単に五〇パーセントを切ることではないんです。歳出の四分の一は国債の償還費や利払い

に充てられるので、ここは切りようがない。

――切ったらデフォルトしてしまう。

 そうなると、残りの七十五兆円から五十兆円を削減しないといけないわけです。しかし財務省

関係者がいうには、公共事業費は既に目いっぱい削減されているし、防衛費も増えていない。

公務員の人件費なんか、二、三割カットしても、兆単位のお金は出てこないと。では、どこを

切るか。歳出に占める割合からいっても、社会保障関係費と地方交付税交付金を切るしかない

。彼らに、これを切りますかときかれて、切りましょうと即答したら、絶句されました。

賛否両論、大歓迎

――江島総理とチームOZの面々が、いかにしてこの不可能にも見える半減策を現実にしていく

のか、そこのディテールとリアリティは未体験のものでした。

 財務官僚たちとの勉強会を通じて、今の日本が抱える様々な問題が明らかになりました。すべ

てに自己責任を押しつけるつもりはないのですが、自分たちが必要なものは自分たちで調達す

るのが基本です。だから、年金の不足分を税金で補填するのはおかしい。ただ、本当に困って

いる人を救い上げる仕組みが社会に必要です。半減を徹底的に追求していくと、それが見えて

きます。

――歳出半減とデフォルトのどちらを選ぶか、現実には厳しい選択です。

 健康診断で腫瘍が見つかったようなものです。すぐに手術すれば治るが、つらいリハビリが必

要になるかもしれない。でも、今のところは痛みも自覚症状もない。それでも手術しましょう

といえるかどうか。政治家がそれを言うには、国民に人気があって、かつ与党が圧倒的な議席

を持っていないと無理です。

――江島総理のように、それを言える政治家が今いるでしょうか。

 最初に官僚にきかれたのは、この総理がどれくらい強いのかということです。党内基盤がしっ

かりしているかどうか、選挙に強いのかどうか。つまり、二年くらいで替わる総理なら、どん

な政策を出されても自分たちは死んだふりをしてやりすごせるというわけです。総理の言葉に

国民が納得するかどうか、それがリアリティの根幹になります。江島は、国民から「俺たちを

殺す気か」と怒鳴られても、正面から正直に説得しようとします。それは、今の政治家には無

理です。無理なんですが、やるとしたら、争点を隠して誤魔化して、いつの間にか成立させる

という方法なら、できてしまうかもしれない。この前の選挙を見ていて、そう思いました。

――江島総理の大勝負がどう出るか、日本はデフォルトを回避できるのか、結末は小説を読んで

いただくしかありませんが、いずれにしてもこの問題には賛否両論が出そうです。

 

     アサヒコムより。

財政破綻 誰も言わないなら、私が言う 作家・真山仁

挑戦のすゝめ:作家・真山仁さん

 ――昨年、日本の財政危機を巡る小説「オペレーションZ」を出版されましたね。債務残高が

1千兆円を超えても放置されていることへの問題意識があったのですか。

「怖いものはみたくない。できたら通り過ぎてほしい。『見ざる』『聞かざる』『言わざる』の

3ザルですよね。お上に、よきに計らってもらえばって思っている表れでしょう。でも、そう

していたらろくなことがなかったのが、この20年ですよね」

「特に東日本大震災の後、官僚やメディア、大学教授といったインテリに対して国民が嫌悪感を

もってしまっていて、福島第一原発事故などに関して『だまされた』という感情がある。『も

っと一生懸命言ってくれたら、気にしたのに』と思っている。本当は、スリーマイルもチェル

ノブイリの事故も隠されてはいないのに」

「政治家も、財務省をたたいていれば自分たちの責任が転嫁される、と考えているふしがある。

官僚主導が嫌ならば、政治家がもっと勉強して官僚を使いこなせばいいのに、それもできず、

警鐘がきちんと鳴らされていない。だからこそ、目の前にあるものが現実味のある恐怖である

ということを伝えるのは、私の仕事だろうと思ったのです」

あと何年で破綻

 ――「日本は破綻(はたん)しない」と言う人もいますが。

リーマン・ショック後に雑誌の企画で、財政危機に陥った東欧のハンガリーラトビアに取材

に行きました。そのとき、現地の政治家やジャーナリストから『なぜ、日本は破綻しないのか

。借金の額はうちよりも何倍もあるのに』って質問されたのです。確かに、これはおかしな話

なんだと思いました。日本の常識は、海外では非常識なことが多いですよね」

「今、そこにある安全というのは、たいていもろいものです。国債を持っている外資の機関投資

家なんて、ヤバイと思った瞬間に即、逃げていきますよ。専門家に詰めていくと、2020年

東京五輪パラリンピック後が危ういとか言い始めている。しかも日本は経済規模が大き過

ぎて、破綻をしたらIMF国際通貨基金)にも他の国にも助けてもらえません。あと何年で

爆発するのかは正確には分からないけれど、時限爆弾は動いている。財政問題の最大のポイン

トは、危ないことは分かっているのに、誰も逃げようとしないことです」

――小説ではまず、インターネ…